難局が続く韓国代表の監督人事

アジアカップ終了後、クリンスマン前監督を解任したKFA(韓国サッカー協会)は、後任探しに難航した。

KFAは当初、オーストリア1部レッドブル・ザルツブルクでFWファン・ヒチャン、日本代表MF南野拓実らを指導したアメリカ人指揮官ジェシー・マーシュ監督やサウジアラビア代表の監督としてワールドカップ2022を戦ったフランス人指揮官エルヴェ・ルナール監督、過去にKリーグのFCソウルで監督を務めた経験もあるトルコ人の名将シェノル・ギュネシュ監督など、実績のある外国籍監督の招へいに動いていた。

カナダ代表に就任したジェシー・マーシュ監督(写真中央)とアシスタントコーチに就任したエワン・シャープ(写真右)

しかし、条件面で折り合いがつかず交渉の決裂が続いた。相次いで外国籍監督からオファーを断られた要因について、コーチングスタッフを含めたチームでの契約を希望する監督側に対して、KFAの資金繰りが悪化している問題が大きく関係していると考えられる。

KFAは早期の契約解除となったクリンスマン前監督の102億ウォン(約11億円)にも上る違約金の支払いに加え、2022年4月から忠清南道(チュンットンナムド)天安(チョナン)市に建設中の同国代表の新しい練習拠点である大韓民国サッカー総合センターの建設費用に1200億ウォン(約132億6000万円)をつぎ込んでいる。

同代表の有力候補に挙がっていたマーシュ監督だったが、自身が希望するコーチングスタッフとの契約に難色を示したKFAのオファーを断った後に、リーズ・ユナイテッドで共に働いたエワン・シャープ、ピエール・バリユー、フランツ・シーマーを連れてカナダ代表の新監督に就任した。

世界各地でワールドカップの予選が行われている中、限られた予算で優秀な監督の招へいは、KFAが想定していた以上に困難を極めた。