11月30日(土)、今シーズンのホーム最終戦で川崎フロンターレ戦を味の素スタジアムへ迎える東京ヴェルディ。

チームは今季、16年ぶりに帰ってきた明治安田J1リーグにおいて、36節終了時点で堂々の6位。就任3シーズン目の城福浩監督のもと、胸を揺さぶる熱いサッカーで勝点を積み重ねてきた。

劇的な試合展開も多かったなかで、貴重なゴールを決めてきた一人が京都サンガF.C.から期限付き移籍で加入している山田楓喜。

U-23日本代表として今夏のパリ五輪にも参加した23歳のレフティは、現在のJリーグを代表するフリーキッカーでもある。

そこでQolyは、日本のパリ五輪出場の立役者でもある山田に単独インタビューを実施。

後編では、独特とも言えるフリーキックや、バックアップメンバーとして掴んだパリ五輪出場、さらにはプレーの根幹にある「魅せる」部分と自身のサッカー人生に影響を与えたというスウェーデン代表MFクルゼフスキなどについても聞いた。

(取材日:2024年9月10日)

フリーキックの秘訣は「シュート練習」

――京都サンガF.C.からの期限付き移籍で東京ヴェルディへ加入した山田選手は、開幕戦からスタメンで出場。横浜F・マリノスを相手に鮮烈なフリーキック弾を決めました。結構近くて難しい位置かなとも思ったんですが、壁3枚の左2人の頭の間を速いボールで抜きました。あれはイメージ通りでした?

そうです。壁を見た瞬間に「何か避けそうだな」と感じて、壁の頭の辺りに速いボールを蹴ったら入るなと、立った瞬間に分かりました。そのときの感覚で入ったゴールでしたね。

――プレーをいろいろ拝見していて、山田選手のキックはモーションよりも速いボールが行く印象を受けました。アルビレックス新潟戦のフリーキックなんかもまさにそういうふうに感じたんですが、何かコツというか意識していることはありますか?

これ、よく聞かれるんですけど、無いんですよね。いままでフリーキックの練習も特にあまりしたことがなくて。

ただ、シュートの練習はもちろん凄い数をずっとやってきて、その感覚に近いです。いままでシュート練習をやっていろいろな感覚を掴んできたものが、止まったボールでできているというか。止まったボールはもう誰にも邪魔されないので、そこで発揮できているんだなというのはあります。

いままでシュート練習などで積み上げてきたものが形になり、あのように結果にできました。染みついたものというか、感覚として自分の体に落とし込めていたので、それがそのまま出たという感じですね。

――また、京都時代よりも「周りにプレーをさせるプレー」が増えているように個人的に感じます。ヴェルディでプレーするうえで意識していることなどはあります?

自分は1人で何かできるタイプではありません。山見(大登)選手みたいなドリブル突破ができるわけではないですし、足が特別速いわけでもないです。

周りを使いながら、かつ周りに使われながら、ボールを出しても止まらないとかそういった連動性が一番自分の武器だと思っています。そういうところはこのチームに来て、より発揮されるようになってきました。

――今季ここまでフル出場が1試合もありません。フルで出たいという気持ちもあると思うのですが、その中での自身の役割についてはどのように捉えています?

いや、今年はもう、特に前の選手は前半で全部を出し切るくらいで、次の選手にバトンを渡していけと言われているので。その役割はきちんと果たせているかなと思います。

後半が始まって少し時間が経ったらもう筋肉がピクピクしだしています。いまのヴェルディのスタイルを貫くには、逆にフル出場をしてはいけないなというくらいなのでそこは体現できているかなと思います。