「引き寄せる力は、自分もあると思います」

――話が代表に戻りますが、4月のU23アジアカップ。パリ五輪出場をかけたあの大会は本当に難しい大会だったと思います。初戦の中国戦、松木玖生選手へのアシストでチームとしてはもちろん、山田選手としても乗れた部分はありました?

はい。あのアシストから、難しい試合になりましたけど(※前半17分に西尾隆矢が一発退場して10人に)、最初に点を取れたことで難しい展開になっても試合をものにすることができて、そこから勢いがつきました。

――その後も、五輪出場がかかった準々決勝カタール戦での先制弾や、決勝のウズベキスタンでの決勝弾。決めたゴールはいずれもニアへのシュートでしたけど、あれはもう自分の形ですか?

そうです。ずっと練習してきましたし、そういう大舞台で決めちゃうのが、自分なので。

ああいうところで決めちゃう…何て言うんだろう。“持っている”じゃないですけど、引き寄せる力というのは、自分もあると思います。

――パリ五輪では最初、バックアップメンバーとして発表されました。発表自体はどういったシチュエーションで聞かれたんです?

ちょうど練習から帰っている途中で、家へ帰ったら奥さんに「バックアップメンバーみたい」と言われて知りました。

正直なところ、バックアップメンバーにも入れるとは思っていませんでした。直前に少し休んでしまい、復帰してまもない時期だったので、オリンピックというのは自分の中で一回消していたんです。

逆に入るとは思っていなかったからこそ、「使いたいと思われる選手になっているんだな」という実感もありました。

バックアップメンバーとして選ばれたときは最初帯同しないとなっていたんですけど、絶対に帯同することになるだろうなと思って。名前を呼ばれた時点でもうオリンピックには行く気でいました。

――チームに合流した後のTeam Camで「日本には自分が必要」と仰っていたことは印象に残っています。実際に2試合目のマリ戦で先発。ピッチに立ったときの気持ちはいかがでした?

一度諦めた舞台に立っているんだなという、感慨深いものがありましたけど、なによりその舞台を「楽しめた」というのが一番良かったかなと思います。

――そこからイスラエル戦、そして準々決勝のスペイン戦も先発しました。先ほどスペイン戦のことを仰っていましたが、スペインと対戦した中で感じた自身の課題みたいなところは?

セカンドボールやルーズボールのとき、スペインの選手は球際が「強い」というよりは「うまい」と感じました。

予測とか、ボールがこぼれる場所が分かっているんじゃないかというくらい早くて、パッと拾われちゃうんです。そこは一番差があるというか、自分の一番の課題だと思いました。

――大岩剛監督のもとでは2022年のU-21日本代表からプレーされてきました。五輪代表での活動は「選手・山田楓喜」にどのような影響を与えました?

所属チームとはまったく別物として考えていたので、チームでやっていると見えない、自分の強さや弱さが分かる活動でした。そこが一番良かったかなと思います。