Jリーガーは社会的な証明
今季リーグ戦24試合6得点4アシストを挙げてチームのJ3参入に大きく貢献した背番号77。ただここまでの道のりは波乱万丈だった。
2022年シーズンにJ3松本山雅FCとの契約満了がした田中は日本プロサッカー選手会(JPFA)が主催するトライアウトに参加するも、Jリーグクラブとの契約は叶わなかった。2023年に当時関東1部だった栃木シティに加入し、JFL昇格、J3参入と2年かけてJリーグへ帰還した。
「Jリーグはサッカーをしていない人にとって、Jリーグが一つの社会的な証明になるというか。サッカー選手である上ではJリーガーにならないと認めてもらえないというところが少しあります。そういった面でも『Jリーガーになる。もう1回戻る』というのはすごく大事でした。僕だけじゃなくて、他の選手はJリーガーになる素質を持った選手が多い中、いままで下のリーグで悔しい思いをしてきたと思います。Jリーグは華がある素晴らしいものがあると僕は知っているので、他の選手と一緒にJリーグに戻れたことが僕の中ではやりがいになっていると思います」と吐露した。
栃木ウーヴァFC時代に在籍していた2017年シーズンぶりにJFLへと復帰したチームは、新たに7人のJリーグ経験者を加えて挑んだ。ただチームは開幕戦でレイラック滋賀に1-3で敗れ、第5節まで2勝3敗と好スタートを切れなかった。
「(優勝は)報われましたし、ホっとしました。僕だけじゃなくて、ほとんどの選手が他のチームでなかなか『結果が出なかったり、試合に出られなかったり』と悔しい思いをした選手が集まっています。それがいい方向にネガティブになりそうなときも、みんながポジティブに消化することによって、僕たちは立ち上がることができました。そこは僕だけじゃなくて、みんなのマインドが良かった結果だと思っています」
一丸となって戦う姿勢を崩さず、堅守速攻のスタイルを貫いて第13節から18戦負けなしの快進撃へとつなげた。