近年、サッカー界ではヘディングによる頭部への影響が懸念されてきた。
『BBC』によれば、プロサッカー選手が神経変性疾患で死亡する確率は、一般より3.5倍高いというが、新たな研究では、サッカー選手の認知症リスクの高さが、健康状態や生活習慣と関連していることを示す証拠はないことが明らかになったという。つまり、ヘディングが脳損傷の原因である可能性が高まったとのこと。
この研究は主導した、グラスゴー大学のウィリー・スチュワート教授はこう述べている。
「我々のデータは、元プロサッカー選手の神経変性疾患の発症率の高さとの関係は、認知症リスク要因として広く認識されている、より広範な一般的な健康状態や生活習慣の要因によるものではないことを示唆している。
これまでは、スポーツ中の頭部外傷や頭部への衝撃がおそらく最もリスクが高いと考えられていたが、アルコール、喫煙、糖尿病、血圧など、他のリスク要因との関連性については確信が持てなかった。
今回のデータを見ると、これらの他のリスク要因が認知症リスクに寄与していないことが実際に分かった」
医学誌に掲載された今回の研究は、11,984人の元プロサッカー選手と35,952人のスコットランド市民の電子カルテを調査したもの。
元プロ選手たちは、アルコール関連障害、喫煙、糖尿病、肥満のリスクは低く、また、難聴、うつ病、高血圧のリスクは、一般と同程度だったという。
スチュワート教授は「この報告書は議論を大きく前進させるものだ。サッカー選手たちは一般的に健康で、良いライフスタイルを送っている。血圧は良好、体重も適切、喫煙も飲酒もしていないのに、認知症という現実的な問題を抱えている。それはスポーツにおける頭部外傷や頭部への衝撃と関係があると言われている。それが取り組んでいる問題だ」とも話していたそう。