監督交代後の劇的な変化とは?

2022シーズンより指揮を執ったアルベル氏が第17節・ガンバ大阪戦を最後に退任し、第18節・名古屋グランパス戦からピーター・クラモフスキー監督がチームを率いるFC東京。監督交代後はリーグ戦3試合無敗(2勝1分)を記録するなど、安定感のある戦いぶりが光る。

新体制でいったいどのような変化が生じたのだろうか。

クラモフスキー体制での変化について触れる前に、まずはアルベル体制の振り返りをしていきたい。アルビレックス新潟で魅力的なポゼッションサッカーを展開したアルベル氏は、大きな期待を背負って首都クラブの監督に就任した。

アルベル氏は就任後、アンカーを置いた中盤逆三角形型の4-3-3を基本システムに設定。最終ラインからのビルドアップを基本的な約束事としつつ、相手守備陣に生じたスペースへロングフィードを送り込み、一気に加速して崩す速攻を取り入れたハイブリッドなスタイルを構築した。

結果、チームは昨季リーグ戦を6位でフィニッシュ。理想と現実のバランスを思案しながら、上々の結果を残した1年目だった。

迎えた2年目は、ハイブリッドなスタイルをベースに更なるレベルアップが求められた。小泉慶、仲川輝人、徳元悠平など戦術に合致する実力者をピンポイントで補強しており、戦力的にも申し分のない陣容が揃った。

だが、アルベル氏の退任が決まった第17節・G大阪戦後の順位は18チーム中12位。ハイプレスを仕掛けるチームがスタンダードである今季のJ1において、ビルドアップの質を高めることができなかった点が響いたこともあり、白星は17試合で5勝にとどまった。

巻き返しを狙うクラブが後釜に据えたのは、今季途中までモンテディオ山形を率いたクラモフスキー監督である。バトンを受け取ったオーストラリア人指揮官は、初陣となった第18節・名古屋戦で、課題を修正した姿をさっそく披露する。