三角形に配置された3つのものを見たとき、人はそこに人間の顔を見ようとする。これを「シミュラクラ現象(類像現象)」と言い、心霊写真などオカルト業界では有名な現象のようだ。

アーセナル、チェルシーといった同じロンドンの強豪クラブよりも長い歴史を持つトッテナム・ホットスパー。英語表記はTottenham Hotspurで、テレビ中継では最初の3文字から「TOT」という略語で表記されることがあるのだが、これが昨シーズン序盤、まったく勝てないチーム状態も手伝って、スパーズファンの心情を表す泣き顔のように見えたものだ。それが、昨年10月末、レドナップ監督就任とともに調子を上げ、最終的に8位でフィニッシュ。そして今シーズンは開幕当初から上位に食い込んでいる。


伸び悩む大器、ガレス・ベイル

1年前と何が違うのかと言えば、前線の充実、パラシオスの存在、GKゴメスがプレミアの水に慣れたことなどが挙げられるが、ウェールズ代表ベイルの出場機会が少ないことも好調の要因のひとつかもしれない。2007年夏のトッテナム加入以降、2年に渡り続いていた「ベイルが出場したプレミアの試合は勝てない」という記録は、今年9月26日のバーンリー戦でようやく終わりをみた。ちなみに、この試合は4-0の残り5分からベイルを投入する念の入れようで、レドナップ監督も試合後、「悪しきジンクスを打ち破るために彼を投入した」と認めている。

10月31日に行われたアーセナルとのノースロンドン・ダービーでは、ベイルが途中出場したこともあり(?)、0-3の完敗。ただ、ベイルのジンクスはともかくとして、現在故障中のモドリッチやレノンが復帰すれば、トッテナムが再び上昇気流に乗る可能性は高い。目標は、“ビッグ4”の一角を崩して4位以内に入り、初のCL出場権を獲得すること。来年5月、TOTは歓喜の涙となるであろうか。


一方、゚Δ゚と言えば、SOLATOでおなじみの太陽石油(http://www.taiyooil.net/)に他ならない。そのSOLATOを背中スポンサーに持つのが、J2の愛媛FCである。48節が終了した時点で15位につけ、観客動員の平均も3700人弱と、どちらも昨年並みを記録。同じ四国の徳島が好調のため、2006年のJリーグ参入後初めてローカルライバルの後塵を拝することになりそうだが、クラブとして停滞しているという印象はない。

観客動員に関して言えば、試合当日に愛媛に縁のある“ゆるキャラ”を集めるイベントを行い、一平くんというカエルのキャラクターをプチブレイクさせるなど、少ないスタッフのなかで努力を重ねていることが伺える。またチーム強化の面では、今年9月、クラブ初の外国人監督となるクロアチア人のイヴィッツァ・バルバリッチ氏を招聘。そして10月28日には、海外組の1人として、パラグアイ、メキシコ、スペイン、ギリシャなどでプレーしてきた、愛媛県新居浜市出身のFW、福田健二の加入を発表した。選手登録の期限を過ぎているため公式戦への出場は来年からとなるが、「外国人ストライカー」として海外で6年間プレーしてきた福田がどのような形でその経験を地元に還元するのか、愛媛ファンでなくても楽しみになってしまう。

思わず顔が゚Δ゚となるような快進撃を愛媛が見せる日が、近い将来に訪れることを期待したい。

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