健闘むなしく、1-0でオランダ戦を落とした“サムライブルー”であったが、監督の岡田武史は一部のメディアに対する不満をぶちまけた。

「周りは決してチームのためのことを考えているわけではないことを理解してもらいたいと(選手達に)言いたい」

試合後の記者会見で、皮肉交じりにこう語ったが、この発言だけでは怒りの発端は何なのか気づくことは難しいかもしれないので、追って経緯を補足すると、こういうことだ。

日本代表は、オランダとの決戦前の練習では4-4-2をベースにして戦ってきたが、非公開練習の時にはカメルーン戦で用いた4-1-4-1の形に戻し、本番でもこの形でいくことを代表スタッフは秘密裏に進めようと試みていた。にも関わらずだ。試合前に各大手メディアが予想した布陣は何故か4-1-4-1。各々が「今日はこのシステムになるのではないかと見られています」と、あたかもその情報を知っているかのように伝えたのであった。

察しが良い方ならば、ここで事態を把握できただろう。つまり、一部のメディアが非公開練習をチェックして、予想布陣まで公にしたのである。これには、岡田監督ならずとも、どこの監督であれ怒りを噴出させるだろう。大事な試合を前に、重要な秘密情報が漏えい。しかも、それが“日本代表を応援するべき立場にある”、母国のメディアによって行われたのだ。

各局メディアが競って、特ダネ発掘に邁進することは自然の理。それを止めることは誰にも出来ないし、止めてはならない。だが、彼らが一番伝えたかったことは、日本の勝利ではなかったのだろうか?それとも、日本代表を不利な状況に陥れてでも、目先の利益を得たかったのだろうか?

オランダ戦の敗因の全てが、彼らマスメディアの仕業であるとは言わない。少なくともピッチ上で戦ったのは選手達であり、チームを指揮していた岡田監督の責任が主であろう。しかし、愚かな彼らがしでかした、“自分勝手な報道スタイル”は許してはならないはずだ。命を懸けた戦いと言っても大げさではない、4年に1度の大舞台で日本代表の足を引っ張った彼らは、反省する必要があるのではないだろうか?

たしかに、”日本代表サポーター”に有益なニュースを伝えることは重要ではある。だが、それ以上に「自分達も日本代表サポーターの一員である」ということを自覚して欲しいものだ。

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