HOME > コラム > 【取材】海外サッカーファンの新たな“居場所”~コミュニティとして機能する「サポクラ」の正体~ 【取材】海外サッカーファンの新たな“居場所”~コミュニティとして機能する「サポクラ」の正体~ 2012/11/28 22:21 Text by くわけん 兵庫県西宮市在住の大学生。競技としての魅力はもちろん、文化や側面としてのサッカーの魅力を一人でも多くの人に伝えたいです。サッカー実況界の神=倉敷保雄さんと写真撮ったことだけが自慢。 記事一覧 ▼「サポクラ」が変えたもの、変えるもの では、これらのサポーターズクラブの新しさとは一体何なのだろうか。 確かにこれまでにも、同じ海外チームのサポーター同士がネットを通じて集まり、オフ会を開くケースは不定期的に見受けられた。しかし、それらのほとんどが断片的でどちらかと言うと排他的かつ限定的だったのに対して、サポクラのような公式化された組織が組まれたことで、それらのサポーター同士が日本全国で蜘蛛の巣状に繋がり始めたことは日本の海外サッカーファンの歴史を振り返ってみても、極めて新しい出来事であるように感じる。 ただでさえソーシャルメディアの時代だ。海外クラブサポーターのネットワークはより広い方向へと拡大し、オンラインからオフラインへの接続を経て、より深い方向へと向かうだろう。インターネットやソーシャルメディアが、海外サッカーファンが繋がるための物理的な整備を行った一方、サポクラの設立はそれらを一斉に動員するための具体的な契機となったのだ。まさに、サポクラがコミュニティを広げる上での「ハブ」として機能したわけだ。 また、ここまでサポーターズクラブが勃興している背景には、「日本」という海外サッカーを楽しむ上ではである種“恵まれない"その条件があるのではないかとさえ感じる。 つまり、実生活ではクラブの話題を共有する仲間やその時間を確保するのが難しいという地理的に不利な環境が、海外クラブサポーターをサポクラの方向へとより向かわせているのではないか、という逆説的な因果関係を導き出すこともできるかもしれない。 この点が、Jリーグのサポーターとは決定的に異なる点だ。なぜなら、Jリーグのサポーターには明確なコミュニティの場が存在するからだ。そう、ゴール裏である。 そこには同じクラブを応援する人が溢れており、応援を通じて人と人とが繋がりあっていく。遥々アウェイの地へと遠征をした際、数が少ないゴール裏で仲良くなったサポーターも大勢いることだろう。私の知り合いには、ゴール裏で意気投合したのがきっかけで天津までACLを観戦しに行くまでの仲になったサポーター達もいる。これは「どちらが良い」「どちらが悪い」の議論ではない。スタイルの違いである。 さらに、日本のサポクラ文化が特異であるのは、サポクラ同士が友好的でクラブの壁を越えての交流を積極的に打ち出している点だ。このような風潮は、おそらく現地ではありえないだろう。もちろん、そういった楽しみ方が全てではないし、ライバルチームのサポーターと仲良くすることに抵抗感を覚える人もいるかもしれない。 しかし、何もかも現地のファンと同じように振る舞うことが正解だとは私は思わない。日本は日本独自の文化を築いていくべきである。そしてそのような姿勢を象徴するかのような一大イベントが来る12月2日、神奈川県の川崎市で行われることになっている。それが、サポーターズクラブ対抗のフットサル版チャンピオンズリーグだ。 これは、日本に存在する8つの公式サポーターズクラブがフットサルで対戦するというイベントだ。参加するのはプレミアリーグからマンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、アーセナル、トッテナム、リバプールの5クラブ、セリエAからユベントス、インテル、ミランの3クラブだ。この8チームのサポーターズクラブが総当たり戦を行い、勝ち抜け方式でフットサルを行うのだ。先日Ustreamでは、その組み合わせ抽選会の模様も生中継され、実際のチャンピオンズリーグになぞって小さなカプセルを用いた抽選が行われた。組み合わせ結果はこのようになった。 もちろん、勝負事である以上熱くなる部分や判定に納得できない部分もあるだろう。しかし、このイベントはあくまで交流を深めるためのもので、フェアプレーを尊重して上での参加が条件であることは注意したい。女性へのファールは即PKや、女性のゴールは2点などの特別ルールもある。各チームからは約15名程度が参加し、100名以上が参加することになるという。 果たして、海外サッカーサポーターをここまでの規模で動員できた企画やイベントが日本の歴史上にあっただろうか? おそらく大会当日には、各クラブから様々なチャントが飛び交うことだろう。ベイルのハートマークのゴールパフォーマンスやチチャリートのCのポーズ、またブッフォンも真っ青なビッグセーブが出ると、会場は盛り上がること間違いなしだ。目の前で贔屓のチームが試合をしているかのように歌い、自分もその選手になりきってボールを蹴る。こういった体験性こそ、私がサポクラに最も魅力を感じる要素である。関東地方にお住まいの海外サッカーファンは、是非このイベントを見学していただきたい。 日本全体で見るとサポクラの認知度はまだまだ低い。一人でも多くの人が、サポクラという文化に関心を示していただけたのならば幸いだ。 最後に、私が確認することのできた海外クラブの日本公式サポーターズクラブを紹介する。気になるチームがある方は是非チェックしてコンタクトを取ってほしい。 <プレミアリーグ> 【マンチェスターユナイテッド公認サポーターズクラブ日本支部】 http://mufctokyo.jp/ 【チェルシーサポーターズクラブ東京】 http://blog.livedoor.jp/chelseatokyojp/ 【アーセナルジャパン】 http://arsenal-japan.com/index.html 【スパーズ・ジャパン】 http://spurs.sc/ 【リバプール・サポーターズクラブ日本支部】 http://www.liverpoolscj.org/ <リーガ・エスパニョーラ> 【ペーニャ バルサニック東京】※認可待ち http://barcanik.jp/about.html 【ペーニャ・マドリディスタ・ニポナ】 http://www.geocities.jp/joe_catorce/index.html <セリエA> 【ユヴェントス・クラブ・ジャポーネ】 http://www.juventusclubgiappone.jp/ 【インテルクラブ・ジャポネ】 http://inter-club-giappone.jp/index.html 【ナポリ・オフィシャル・サポーターズ・クラブ】※設立中 http://www.facebook.com/groups/402135983166402/ 【ラツィオクラブジャパン】※認可待ち? http://www.facebook.com/laziojp 【AC MILAN CLUB JAPAN】 http://www.facebook.com/ACMILANJAPAN ※団体の名称、URL等に間違いがある際は、 @kuwaken0607までご連絡ください。 筆者名:くわけん プロフィール:『兵庫県西宮市在住の大学生。競技としての魅力はもちろん、文化や側面としてのサッカーの魅力を一人でも多くの人に伝えたいです。サッカー実況界の神=倉敷保雄さんと写真撮ったことだけが自慢。』 ツイッター: @kuwaken0607 【厳選Qoly】なぜ?日本代表、2024年に一度も呼ばれなかった5名 ラッシュフォードの私服がやばい 4 / 4 前ページPrev 1 2 3 4 最初から読む RELATED TAGS コラム (871) リヴァプール (5011) インテル (2132) チェルシー (4299) ナポリ (972) ラツィオ (685) くわけん (13) ユヴェントス (3007) アーセナル (5503) バルセロナ (6174) レアル・マドリー (5648) マンチェスター・ユナイテッド (5658) トッテナム (2088) サポーター (2256) イングランド (5217) イタリア (3403)
▼「サポクラ」が変えたもの、変えるもの では、これらのサポーターズクラブの新しさとは一体何なのだろうか。 確かにこれまでにも、同じ海外チームのサポーター同士がネットを通じて集まり、オフ会を開くケースは不定期的に見受けられた。しかし、それらのほとんどが断片的でどちらかと言うと排他的かつ限定的だったのに対して、サポクラのような公式化された組織が組まれたことで、それらのサポーター同士が日本全国で蜘蛛の巣状に繋がり始めたことは日本の海外サッカーファンの歴史を振り返ってみても、極めて新しい出来事であるように感じる。 ただでさえソーシャルメディアの時代だ。海外クラブサポーターのネットワークはより広い方向へと拡大し、オンラインからオフラインへの接続を経て、より深い方向へと向かうだろう。インターネットやソーシャルメディアが、海外サッカーファンが繋がるための物理的な整備を行った一方、サポクラの設立はそれらを一斉に動員するための具体的な契機となったのだ。まさに、サポクラがコミュニティを広げる上での「ハブ」として機能したわけだ。 また、ここまでサポーターズクラブが勃興している背景には、「日本」という海外サッカーを楽しむ上ではである種“恵まれない"その条件があるのではないかとさえ感じる。 つまり、実生活ではクラブの話題を共有する仲間やその時間を確保するのが難しいという地理的に不利な環境が、海外クラブサポーターをサポクラの方向へとより向かわせているのではないか、という逆説的な因果関係を導き出すこともできるかもしれない。 この点が、Jリーグのサポーターとは決定的に異なる点だ。なぜなら、Jリーグのサポーターには明確なコミュニティの場が存在するからだ。そう、ゴール裏である。 そこには同じクラブを応援する人が溢れており、応援を通じて人と人とが繋がりあっていく。遥々アウェイの地へと遠征をした際、数が少ないゴール裏で仲良くなったサポーターも大勢いることだろう。私の知り合いには、ゴール裏で意気投合したのがきっかけで天津までACLを観戦しに行くまでの仲になったサポーター達もいる。これは「どちらが良い」「どちらが悪い」の議論ではない。スタイルの違いである。 さらに、日本のサポクラ文化が特異であるのは、サポクラ同士が友好的でクラブの壁を越えての交流を積極的に打ち出している点だ。このような風潮は、おそらく現地ではありえないだろう。もちろん、そういった楽しみ方が全てではないし、ライバルチームのサポーターと仲良くすることに抵抗感を覚える人もいるかもしれない。 しかし、何もかも現地のファンと同じように振る舞うことが正解だとは私は思わない。日本は日本独自の文化を築いていくべきである。そしてそのような姿勢を象徴するかのような一大イベントが来る12月2日、神奈川県の川崎市で行われることになっている。それが、サポーターズクラブ対抗のフットサル版チャンピオンズリーグだ。 これは、日本に存在する8つの公式サポーターズクラブがフットサルで対戦するというイベントだ。参加するのはプレミアリーグからマンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、アーセナル、トッテナム、リバプールの5クラブ、セリエAからユベントス、インテル、ミランの3クラブだ。この8チームのサポーターズクラブが総当たり戦を行い、勝ち抜け方式でフットサルを行うのだ。先日Ustreamでは、その組み合わせ抽選会の模様も生中継され、実際のチャンピオンズリーグになぞって小さなカプセルを用いた抽選が行われた。組み合わせ結果はこのようになった。 もちろん、勝負事である以上熱くなる部分や判定に納得できない部分もあるだろう。しかし、このイベントはあくまで交流を深めるためのもので、フェアプレーを尊重して上での参加が条件であることは注意したい。女性へのファールは即PKや、女性のゴールは2点などの特別ルールもある。各チームからは約15名程度が参加し、100名以上が参加することになるという。 果たして、海外サッカーサポーターをここまでの規模で動員できた企画やイベントが日本の歴史上にあっただろうか? おそらく大会当日には、各クラブから様々なチャントが飛び交うことだろう。ベイルのハートマークのゴールパフォーマンスやチチャリートのCのポーズ、またブッフォンも真っ青なビッグセーブが出ると、会場は盛り上がること間違いなしだ。目の前で贔屓のチームが試合をしているかのように歌い、自分もその選手になりきってボールを蹴る。こういった体験性こそ、私がサポクラに最も魅力を感じる要素である。関東地方にお住まいの海外サッカーファンは、是非このイベントを見学していただきたい。 日本全体で見るとサポクラの認知度はまだまだ低い。一人でも多くの人が、サポクラという文化に関心を示していただけたのならば幸いだ。 最後に、私が確認することのできた海外クラブの日本公式サポーターズクラブを紹介する。気になるチームがある方は是非チェックしてコンタクトを取ってほしい。 <プレミアリーグ> 【マンチェスターユナイテッド公認サポーターズクラブ日本支部】 http://mufctokyo.jp/ 【チェルシーサポーターズクラブ東京】 http://blog.livedoor.jp/chelseatokyojp/ 【アーセナルジャパン】 http://arsenal-japan.com/index.html 【スパーズ・ジャパン】 http://spurs.sc/ 【リバプール・サポーターズクラブ日本支部】 http://www.liverpoolscj.org/ <リーガ・エスパニョーラ> 【ペーニャ バルサニック東京】※認可待ち http://barcanik.jp/about.html 【ペーニャ・マドリディスタ・ニポナ】 http://www.geocities.jp/joe_catorce/index.html <セリエA> 【ユヴェントス・クラブ・ジャポーネ】 http://www.juventusclubgiappone.jp/ 【インテルクラブ・ジャポネ】 http://inter-club-giappone.jp/index.html 【ナポリ・オフィシャル・サポーターズ・クラブ】※設立中 http://www.facebook.com/groups/402135983166402/ 【ラツィオクラブジャパン】※認可待ち? http://www.facebook.com/laziojp 【AC MILAN CLUB JAPAN】 http://www.facebook.com/ACMILANJAPAN ※団体の名称、URL等に間違いがある際は、 @kuwaken0607までご連絡ください。 筆者名:くわけん プロフィール:『兵庫県西宮市在住の大学生。競技としての魅力はもちろん、文化や側面としてのサッカーの魅力を一人でも多くの人に伝えたいです。サッカー実況界の神=倉敷保雄さんと写真撮ったことだけが自慢。』 ツイッター: @kuwaken0607 【厳選Qoly】なぜ?日本代表、2024年に一度も呼ばれなかった5名 ラッシュフォードの私服がやばい