【主役ヤヌザイ】
そういう意味ではヤヌザイは非常にインテリジェンスある動きを見せていた。最もコレが皆当たり前になって欲しいレベルだなとも思うわけであるが、相手の嫌だと思うスペースでボールを受けようと試みたり、きっちり滞空時間の長いクロスでフェライニを活かしたりするなど、この日の攻撃面での牽引役は間違いなくヤヌザイであった。ヤングとは大違いである。本音を言えばもっともっと引っ張るべきであり、その技量は既に備えているはずだ。
フェライニが2トップ気味に高い位置を保っている場合には、ヤヌザイの周りにはスペースがあった。厳密に言えば、相手は数人いたものの味方の邪魔はなかった。逆にフェライニが近くにいる場合には非常に窮屈そうに見えた。どっしり構えるフェライニは常に相手を引き連れていたので当然といえば当然なのだが、サイドバックとセンターハーフのフォローと重なった場合には、それぞれが個別のフォローの為にごちゃごちゃしていたのだ。
誰の時にもそのようなことはあるのだが、ことヤヌザイにかけては広いスペースを保ってやったほうが相手にとっては嫌だろう。そういう意味ではトップ下を置くことはあまりユナイテッドには向いていないとも言える。ルーニーは性質上置いておくとして、現状、トップ下に人を置くとウィングのベクトルが縦にしか向けない状況を生み出してしまっている。裏抜けしない選手個々人の動きの問題と、チームの戦術、マネージメントの問題でもあるのだが、サイドバックの有効なオーバーラップとウィングのカットインが印象的にではあるが減っているように感じるのはやはりトップ下プレーヤーを置いていることに起因するのではないだろうか。
これ以上突っ込むと5000字を超える勢いになりそうなので留めておくが、トップ下を活かす土壌と文化がユナイテッドには無いと断言してもいいだろう。ファーガソンが最後にチャレンジ仕掛けたことが見事に裏目に出ているとも言える。もちろんたまたまハマった試合は何度かあるが、主体的な戦術として定着させるほどのものではない。現状ルーニーに丸投げしているとも言える。
こう考えると来期が明るいかどうかは未だ分からないが、とりあえずウィルソンのゴールをツマミにして一杯やることにしよう。素晴らしいボレー、マケダのようにならないことを祈るのみだ。
筆者名:db7
プロフィール:親をも唖然とさせるManchester United狂いで川崎フロンターレも応援中。
ツイッター:
@db7crsh01