7位 マンチェスター・ユナイテッド @ManUtd

赤い悪魔の闇は深い。モイーズがいくら必死で探しても最適解は見つからない上に、守備は相変わらず崩壊状態、更に必要な戦力には逃げられる上に意味の分からないタイミングにマーケティング戦略でマタを買ってくるフロント、と様々な面でヤバいことが頻発した。アレックス・ファーガソン監督の負の遺産が物凄い勢いでチームに襲い掛かった印象である。クラブは全責任をモイモイのせいにしようとしたが、レジェンドであるギグス監督でも普通にイマイチなサッカーを披露して負けていたので、もう監督がどうとかいうとかいう問題よりも根本に立ち返らざるを得ないだろう。若手はどうもファギーがいなくなったことでふにゃふにゃ緩むし、どうすればいいんだ感が凄かった。来季も大量の不安を抱えながら進んでいくことになりそうだ。まあ良くも悪くもエヴラとヴィディッチ、リオといったファギー時代から残っている黄金期のDF陣は退団濃厚ということでDFラインの世代交代が進みそうではあることだけは救いか。シーズン終了前の謎タイミングでモイモイの首を突如ぶった切ったように、長期的な計画?何それ美味しいの?ってなってることが不安で仕方ない。守れないプレミアリーグのアイドルとして、今季は大人気だった。来季は積極的にユースの選手も登用してほしいところだが。

アドナン・ヤヌザイ

闇に落ちるユナイテッドを照らした一筋の光明。誰が見ても解るようなプレーのスター性、強気でありながらも相手のプレーをしっかり見た上で選択が出来る素養、守備でも必死に戻る姿、と大器の片鱗を見せるベルギー人アタッカーは常に違いを作った。ダビド・シルバを思わせるサイドでのキープ力、クリスティアーノ・ロナウドを思わせる勝負所でのパーソナリティ、そして稀に見せる美しいピンポイントクロスで懐疑論を吹き飛ばした。暗黒期に圧し掛かるプレッシャーをフレッシュな力で押しのけた若き怪物は、W杯での経験も経て間違いなく来季の主軸となるだろう。ハンバーガー屋さんで女子とデートして、タブロイド紙に笑われるそんな純情なところも、可愛らしくて年上お姉さんにはモテそうである。

香川真司

緻密な動きでエリア内に侵入し、テクニックを生かしてゴールを量産する日本の精密機械も、不調に喘ぐユナイテッドでは上手く働くことが出来なかった。守備では穴になることが露呈し、相手指揮官には狙われまくる始末。何より悲しいのは、エリア外からゴールに持ち込む術がないことがついにバレてしまったことで、終盤戦はエリア外で持っても相手DFにエリア内で待たれ、無視されるという屈辱的な対応を受けた。来季は自分の築き上げたスタイルを時には捨てる覚悟も必要になってくるのかもしれない。

ダニー・ウェルベック

好守に渡って働く圧倒的なフィジカル、1人でカウンターを完結されるスピード、とこれだけ聞くとシーズン20点くらい取ってそうなFW。怪物になれるポテンシャルを持て余している感のある人。何が悲しいって、試合でちゃんとやっていた事を数日後に忘れている感があることである。出来ないのであればそれなりに諦めもつくのだが、出来たと思ったら出来なくなったりするものだからどうしていいのか解らない。もうモイーズもお手上げである。スターリッジとウェルベック、どこで差が…とならないように頑張って才能を開花させてほしいものだ。

ダビド・デ・ヘア

ソーセージみたいに長い、ことからソーセージというあだ名をクリスティアーノ様につけられたスペイン人GK。ドーナツ泥棒沙汰(財布忘れてドーナツ食ってただけ)もあったのでドーナツ、見た目がそれっぽいからカピパラ、と1人でいっぱいあだ名を持っている選手でもある。止めても止めてもシュートが押し寄せてくるという恐ろしい状況で、可哀想になるくらい孤軍奮闘していた。

ライアン・ギグス

年齢に比例したどんどん上手くなるという、明らかにおかしなことをやっている中年の星。スピードで相手を切り裂いたレジェンドとしての面影は無くとも、中盤として的確なポジショニングと指示で守備を統率するという面で活躍した。気が利く気が利く、フィル・ジョーンズとウェルベックと香川とエヴラとヤヌザイの気遣いを合わせたくらいの気が利くプレーで、常にユナイテッドのハチャメチャに散らかったお部屋を掃除し続けた。もうマンチェスター・ユナイテッドとかいう大家族のオカンみたいなものである。最終的に監督をぶん投げられて、多分今季一番お仕事したと思います。