ブラジルW杯が終了し、大会の総括的な報告が届き始めている。
今大会では開幕直前、出場国で負傷者が相次ぎ大きな話題となっていた。5月中旬からおよそ1ヵ月弱にかけて練習や強化試合で怪我人が続出し、ラファエル・ファン・デル・ファールトやリッカルド・モントリーヴォ、フランク・リベリーやマルコ・ロイスといった選手たちもあと一歩のところでW杯の出場権を逃した。
しかし、そんな事実と相反するような調査結果をFIFAが発表している。なんでも2014年W杯では、大会期間中に出た負傷の数が2002年と比較して40%も減少したというのだ。英国『Telegraph』と『EUROSPORTS』の中からご紹介しよう。
(※各種データ準決勝終了時点のもの)
記事によれば、今大会の試合中に発生した負傷は全部で95件あり、そのうち全治4週間以上のいわゆる“重症”と定義されるものはわずかに7件だったそう。
【赤い棒グラフが重症の数】
これにはブラジル代表ネイマールの脊椎骨折やメキシコ代表エクトル・モレノの腓骨骨折などが含まれるが、2002年大会が1試合あたり2.7の怪我が発生していたのに対し、今大会では1.6と大幅に減少したという。
FIFAの医療に関する部の代表であるジリ・ドゥヴォラクはこの理由を接触やファールの回数が減ったこと、負傷につながるファールへの制裁の強化、レフェリーによる教育およびフェアプレーの改善という3つを挙げている。
今大会では計10枚のレッドカードが提示された。これは2010年大会の17枚、2006年大会の28枚から年々減少しており、選手やチームスタッフによるコンディション調整だけではなく、選手の意識が怪我の減少にも貢献していると記事では触れられている。
かつて名レフェリーとして名を馳せ、現在はFIFAの審判委員長を務めるマッシモ・ブサッカも「レフェリーは警察にはなれない。どんな時もイエローカードとレッドカードしか出せず、選手とのコミュニケーションでファールを減らすことができる」と話すなど、審判の質の向上が今回の調査結果にも影響したと述べている。
ちなみに、今回の調査はFIFAとその医療機関『F-MARC(FIFA医学評価研究センター )』が発表したもので、過去のW杯のデータと比較しながら2014年大会を総括している。
【Qolyインタビュー】パリ五輪出場の東京ヴェルディMF山田楓喜、トッテナムのクルゼフスキを「自分の究極系」と語るワケ