マンチェスター・ユナイテッド(昨季7位)【開幕戦、第2節、第3節観戦】

【3-4-1-2の継続か、4-3-3か。山積みの問題を大型補強で覆せるか】

・Positive Aspect

プレシーズンで右ウイングバックを任されていたアシュリー・ヤングがある程度ウイングバックとしての戦術理解度を高めていることや、フレッチャーとエレーラの関係性が良いことは大きい。見ている限り、プレシーズンで築き上げてきたものはある程度信頼出来そう。フィル・ジョーンズも若手WBのフォローをしっかりとこなすなど上出来のパフォーマンス。後半見せた4-3-3でも、エレーラとフレッチャーが気の利いた動きで組み立てに絡んでいた。戦術の成熟度が上がれば、個のクオリティで戦えるはず。開幕戦は結果には結びつかなかったものの、プレシーズンを見る限り大黒柱ルーニーのコンディションも良好。2試合目はバレンシアが復帰し、離脱明けとは思えないほどの圧倒的なパフォーマンスを見せたことが大きい。間違いなく今季はチームのために自分を犠牲にすることを厭わないバレンシアの存在が重要になるはずだ。

・Negative Aspect

W杯での就任の遅れを取り戻そうと調整を急いだことで怪我人が続出し、3バックの戦術理解度がある程度高い選手が軒並み消えたことが何よりの問題。更にW杯などの影響もあってか、主力のうち数人が精彩を欠いている。若手の抜擢である程度何とかしようとしたものの、個のクオリティは兎も角として、明らかに組織の中での貢献度が劣ってしまうのが厳しい。開幕戦ではヤング、ジョーンズが若手のフォローに忙殺されてしまった。若手を使うにしても、今の状態で2人を抜擢というのはどう考えても厳しいことから、4-3-3を一先ず使っていくという手も考えられるだろう。少なくとも、序盤は耐える展開が増えそうなところ。ファン・ハールがどこまで立て直せるか。開幕3試合全てで、チームとしての共通理解が出来ていないような場面が目立っている。2試合目はルーニー、マタが本調子には遠く、復帰したファン・ペルシーも精彩を欠いた。3試合目では、新加入のディマリアと全体の意識共有に問題が。個のクオリティで相手を蹂躙出来るまでには、最低限レベルの戦術理解が浸透することが必要になるだろう。

・New Player

アンデル・エレーラ

ボールを持ってのパスの正確さもあるが、それ以上に味方のパスコースを作るような動き出しの上手さで中盤を支えるMF。衛星のように動き回っていく選手なので、マタとの縦での関係性が成熟し、ポジションチェンジしながら組み立てていく場面が増えれば面白い。新加入選手としては完璧に近いパフォーマンスを見せているが、ポテンシャルとしてはこんなものではないはず。組織の中で生きる選手だけに、相互理解が進んでいけば期待出来る。

・Key Player

ダビド・デ・ヘア

能力を疑うものは少ないであろう実力派守護神へと成長したが、統率力や密集地でのフィジカルバトルなどには多少の不安も残る。今季は、慣れない3バックに苦しむCB陣を助けなければならない場面が増えるだろう。組み立てでの実力だけでなく、セービングやセットプレーでも球際の強さを磨きたい。プレミアトップクラスから、更なる壁を超えて飛躍出来るか。チームリーダーとしても、大きな期待がかかる。

・Potential Player

アドナン・ヤヌザイ

昨シーズンは卓越したボールタッチと正対した相手の足を止める絶妙のドリブルで輝いた未完の大器だが、ファン・ハールに冷遇される可能性が高そうな選手でもある。理想としては、プレーの幅が広がることだが。ポジションチェンジを積極的に行いながら中央でも得意パターンが作れれば、抜擢の可能性も。4-3-3を正式採用する場合は、彼の出番が増えると予想される。サンダーランド戦ではまさかのセンターハーフ起用。ファン・ハールに求められているタスクは簡単ではなさそうだ。

マルコス・ロホ

高額を払い、スポルティングから獲得したアルゼンチン代表SB。CBもこなせることから、3バックにも4バックにも適応可能なところが期待されている。ブライアン・マクスウェル記者には「マンチェスター・ユナイテッドファンが、マルコス・ロホの軽率なプレーにどんな風に反応するか楽しみだ。彼は、タトゥーが多いシルベストレのようなものだよ」と酷評され、ポルトガルリーグを専門とするヤン・ハーゲン記者には「どう考えてもマルコス・ロホに2000万は出し過ぎ。レギュラーでプレー出来る器ではない。」とコメントされるなど専門家達からは評価が低いようで、非常に不安要素も大きい選手ではある。とはいえ、ウイングバック、サイドバック、センターバックをこなせる汎用性は、窮地のユナイテッドを救える可能性を秘めているはず。批判を覆す大活躍があれば、ユナイテッドの復権も見えてくる。

香川真司

高い能力を発揮しきれずに苦しんでいるが、怪我人の多い状況なのでチャンスは回ってくるだろうと思われる。トップ下という最難関を勝ち抜くには、類い稀なるスペース侵入能力をアピールする必要がありそう。適度にエゴイストになる、という難しい課題が与えられることになるだろう。と思っていたら、ドルトムント復帰が決定。

・Deadline Buy

ラダメル・ファルカオ

間違いなく世界でもトップクラスのストライカーの1人で、その武器となるのはボールを呼び込む力強い動き出し。マンチェスター・ユナイテッドの補強としては目玉となる人材である。マタやルーニーが本調子ではなく、迷いが見えるユナイテッドの前線を支え、シンプルな攻撃を可能にすることが求められる。攻守分断を積極的に推進するファン・ハールのサッカーにとって、分断でも守備を抉じ開けてしまう圧倒的なパフォーマンスに期待。