リーガで現在5位につけるセビージャ。ELでも準決勝に進出している同チームを率いるのは戦術家、ウナイ・エメリ。
そのエメリが用いる“バネガ落とし"とは…その詳細を見ていく。
第1章も踏まえて、3-4という壮絶な打ち合いになった第26節デポルティーボ戦をベースに発生した“バネガ落とし"について書いていこう。
この試合は大胆極まりない打ち合いとなったが、バネガが試合のテンポといったところをコントロールしようと試みていた印象がある。
特にボールを保持する時間の流れを掴むために。それでも手数は掛けない両チームだけに試合のテンポは相応に速かった。それは、ボールを長く保持するというよりも速いペースで相手の陣形が整う前に、或いはプレッシングが緩い時に攻め上がる試合となったという印象だ。
ここにデータがある。
デポルティーボ:セビージャ
ポゼッション 49%:51%
全体のパス本数 404:404
パス成功数 319:315
これらの数字を見て分かるように、両チームともに同じパス本数であってもパスを確実に通したのはデポルティーボであるが、ポゼッション率はセビージャの方がやや高い。
その差を分けたのは、バネガであると筆者は考えている。セビージャのボール回しにおいてバネガは心臓である。その心臓を最も活発に動かす仕組みこそが“バネガ落とし"と考えて貰っていいだろう。