スケジュール上各チームが新しい選手を加えて望む東アジアカップ。なでしこジャパンもワールドカップを戦ったメンバーとは違い、若手主体で大会に臨んだ。
北朝鮮を相手にした日本は苦しい前半となる。
お互い4-4-2同士のシステムということで、ボランチ+センターバック2枚vs相手のツートップ+ボランチ、サイドバック対相手のウイングというマッチアップが重要になった。その点で日本はバランスを見つけ出すのに40分が必要になった。
最初にボランチで起用された上尾野辺は、後方中央の4枚でボールを繋げることを可能にし、それをベースにサイドバックをマークから引きはがし、トップを裏に走らせるようなパスも導いた。その反面、守備では北朝鮮のエースであるラ・ウンシムらを挟み込むことが出来ず、ペースを崩してパスミスを連発するようになった。
27分あたりには上尾野辺を左ウイングに移し、その代わりに杉田をボランチの一角に配置転換。相手のトップに対するフィルターとして杉田は守備面でのプラスになったが、反面攻撃ではなかなか機能しなかった。
北朝鮮はそこでボールを奪いやすくなり、それに従ってプレスが強まった。日本は相手のボランチを引き出してもその裏にパスを入れられず、菅澤と有吉が縦のベクトルで相手に仕掛けられる場面はなくなった。
序盤高いラインを形成していた北朝鮮が最も嫌がっていたのは裏への縦の動きや増矢のドリブルであったが、それが前線から離れればもちろん相手にとっては楽になる。
22分にカウンターから与えてしまったPKは山根が最後まで飛び込まずにセーブしたが、36分にフリーキックからマークを外して失点。
この後ようやく北朝鮮がややプレスを落としたこともあって中央でのボール回しが復活。それをベースに相手のバイタル、そしてサイドバックに与えられるスペースという2つのポイントを生かしてクロスから有町のヘディングを導くも、得点を奪うことは出来ずビハインドのままハーフタイムに突入した。
1-1の状況ということもあってか、後半は杉田がより攻撃的な動きをするようになり、川村との間で守備の役割を分担するような形になった。
しかし、それは日本のCBと相手の2トップが2対2になる場面が増加し、相手の1発目のパスを収めさせてしまうということも意味する。その形でやられてくればラインが上げられない。するとなおさら中盤との連携が切れる。
後半スタート時には相手が嫌がっていた増矢のドリブルからファウルを奪い、上尾野辺のフリーキックから同点ゴールを奪取。さい先の良い展開になったはずだったが、リスクを抱えていたなかで65分にスピード勝負で裏に抜け出したラ・ウンシムのパスから2点目を失うことになる。
70分には攻撃的なポジショニングの変化が結果に繋がり、セットプレーのこぼれ球から杉田が強烈なミドルシュートを決めることに成功するものの、安定性を欠いた日本はその後を耐えることが出来なかった。
北朝鮮は途中出場のキム・スギョンを頻繁に中央に絞らせて厚みを作り、縦パスから速攻を成功させていく。79分には右からの折り返しをキム・スギョンが収めて繋ぎ、ラ・ウンシムが仕掛けてシュートを決める。
3-2とした北朝鮮はさらにその2分後、ロングボールからの競り合いでマイボールにし、右サイドの裏に抜け出したキム・ユンミの折り返しからラ・ウンシムがゴール。あっという間にリードを2点に広げた。
日本は高瀬を投入して攻撃の枚数を加えるものの、最後までゴールを奪うことが出来ず。初戦で4失点という苦しい大会のスタートになった。
北朝鮮 4-2 日本
(得点者)リ・イェギョン 36' 65'、ラ・ウンシム 79' 81' ; 増矢 47' 杉田 70'