大久保はハイブリッド・フォワード?
大久保は、得点をとるだけでなく今シーズン3アシストをしており、パス、ドリブルのスタッツについてもリーグ10位以内に入るほど高い水準にある。
15ゴールという明確な数値が強調されてしまうが、中盤でパスをつなぎ、中盤前目からはドリブルで仕掛けていくことも同じようにやっているということなのだ。
実際に、パス成功率を見てみると86%と高い水準にある。パススタッツではJリーグNo.1の中村憲剛をチームメイトに持つために目立たないかも知れないが、(アシストに繋がる様なパス数の違いはあれど)彼のパス成功率(87%)と1%しか違わないのだ。同日本代表FWの宇佐美や豊田陽平はアシストやキーパスは別としてパス成功率は彼らより約10%からそれ以上低い。
大久保は「負けず嫌い。俺が点をとってやるという気持ち、それがなくなったときは自分がダメになった時。自分は前で点をとる人、点をとらないと勝てない。」と語り、ストライカーとしてのエゴイズムをあえて主張する。
一方で、豊田は「ストライカーは点をとるだけではいけない。チームの中心にならなくてはならない」と語る。
その豊田のヒートマップを切り取ると大久保ほどではないが、やはり広範囲に伸びている。
豊田陽平のヒートマップ(2ndステージ第1節:柏レイソル戦より) (データ協力、)
現代サッカーでは、ストライカーと言えど中盤での仕事もこなさなくてはならない。かつての元ブラジル代表FWロナウドやアルゼンチン代表FWガブリエル・バティストゥータのように前線でどっしりと構え来たボールをゴールに流し込むという役割だけでは生き残るのが難しくなっている。
大久保は自らゴールをあげるだけでなく、チャンスメイカーとしてパス、ドリブルでも力を見せており、万能な攻撃手として90分間ハイブリッド、マルチな動きを見せている。こうした「マルチ」ぶりは近代的フォワードの特徴であるが前回記事のルーニーらと同じくポリバレントさが時に悪い印象として観客へ映ることも少なくない。実際に大久保も度々そのプレーに批判を受けている。
日本代表監督のヴァヒド・ハリルホジッチは、大久保を年齢を理由に選外としたが、もう一度チャンスが巡ってくる可能性は非常に高いだろう。