3-5-2

Qoly編集部による解説

イタリアで誕生し、1990年代は非常によく見られたフォーメーション。今では考えられないが、1990年代の中盤にはイングランドでも3バックを採用するチームが多かったのだ。

日本でもフィリップ・トルシエが代表監督になり"フラット3"を広め、3-5-2システムは一般の層にまで浸透することとなった。Jリーグでは(世界と比べると)未だに3バックを採用するチームが多い。

だが、この頃のシステムは中盤は2枚のボランチとトップ下、左右のウイングバックからなる5枚が標準的で、ローマがセリエA優勝を果たした時のフランチェスコ・トッティ、ユヴェントス時代のジネディーヌ・ジダンに代表されるように優れたトップ下の存在があってこそ成り立つものだった。逆に言えば、優れた10番が広いスペースを行き来しチームの攻撃を決定づけるほどの力を持っていなければならないということでもある。

2000年代にセリエAでは中盤は逆三角形からなる3枚のセンターからなる3-5-2システムへと流行が移り変わり中盤の底にゲームメイカーを置くケースが多くなった。ダビド・ピサーロ、ファビオ・リヴェラーニといった選手達が脚光を浴びた。ローマも優勝後はフランチェスコ・トッティをFWにあげ、中盤は3枚のセンターへと変更した。

しかし、中盤が厚くなったことでボールは繋ぎやすく、明確なゾーンディフェンスが行われることでセリエAはぎちぎちの戦術に縛られたリーグになってしまった。ファール数は多く、機能美としては良いが試合の流れとしては計算された時間を如何に過ごせるかというものになってしまったのだ。

そこでキエーヴォ・ヴェローナに代表されるような中盤をすっ飛ばし、サイドアタックを重視した4-4-2システムがイタリアで流行し、3-5-2は一時期絶滅寸前に追いやられてしまった。

現在の3-5-2はそれをブラッシュアップしリモデルしたものであり、2014年ワールドカップのオランダ代表や、アンドレア・ピルロ、ポール・ポグバを中盤のキーマンとしたユヴェントスのように戦術的により進化し幅のあるモデルが採用されている。数こそ一緒だが、かつての3-5-2からは大きな変貌を遂げているのだ。

また、ドイツでは3バックの中央がリベロとして攻撃参加することでフランツ・ベッケンバウアー、ローター・マテウスなどの名手を生んだことでも有名だ。ドイツでは1980年代からこの手のフォーメーションが使われてきた。いわばリバイバルされた形で現代に蘇ったと言えるだろう。

代表的なチーム:オランダ代表(2014年ワールドカップ)、ユヴェントス、ローマ、ブラジル代表(2002年ワールドカップ)

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