『スカパー!」』では2011年12月よりオンデマンドサービスを導入している。
これまで同局の多チャンネルサービスを視聴するにはアンテナやチューナーが必要であったのが、それが不要になった。CS放送のアンテナは決して安価ではない。さらに南南西の方角にビルなどがあれば視聴は不可能であり、安全性の問題からアンテナの取り付けを禁止しているマンションなどもある。
こうした様々な障害を、オンデマンドサービスは取り払って見せた。このサービスの誕生により視聴環境的な敷居は圧倒的に低くなり、また外出先で視聴するなどその楽しみ方は抜群に広がったのだ。
しかし、そうしたオンデマンドを「サービス」として提供するのであれば、やはり『スカパー!』はサーバーを強化する義務があっただろう。
「スカパー!オンデマンド」のサービス紹介ページには以下のような記述がある。
インターネットを利用したサービスなのでアンテナ不要! 即視聴!
スカパー!オンデマンドは、インターネットを利用した動画配信サービスです。
アンテナ不要で、どなたでもご視聴いただけます。
ここにあるように、「スカパー!オンデマンド」ではアンテナ不要で見られることをサービスの価値としてアピールしているからだ。
それでいて「年間およそ6,000試合をLIVE配信!」と謳いながらもそれに耐えられるだけのサーバーを用意していないのでは、ユーザーから厳しい意見が寄せられても仕方がない。
であるならば、そんなサービスは提供しないでほしいものだ。中途半端に期待だけを持たせ、その結果「サーバーが耐えられませんでした」では当然納得できるはずもない。
リーガルかイリーガルかは一旦置いておくとして、今日ではインターネットを使用すれば世界中のサッカーを無料で見ることができる。
では、そうした時代になぜ私たちは衛星放送にお金を払うのだろうか?それは、「上質なサービスが安定的に供給される環境を手にする」という側面が大きのではないだろうか。
一昔前であれば、私たちはサッカーの「中継」自体に衛星放送を契約していた。なぜならば、衛星放送でしか海外のサッカーを見る手段がなくなったからだ。
しかしネット環境が整備された現在、衛星放送以外でも海外のサッカーを見ることができるようになった(繰り返すがイリーガルな可能性もある)。
そうした時代において衛星放送局に期待される要素は「画質」や「実況、解説を含めた中継」といった“質”の部分と、「確実に放送を届けてくれるという環境」という“インフラ”の部分に他ならない。
視聴料との対価でオンデマンドサービスを配信している以上、今後はこのようなことが二度とないようにしてもらいたい。