メンバー構成について
タイ代表のメンバーは、セナムアンが就任したことによって大きく入れ替わった。日本で言うトルシエ時代のようなもので、U-23で使っていた選手が随分名を連ねるようになった。
まあ、今ではもうこのメンバーに慣れてしまっただろうが、2年前のスズキカップでそのメンバーを見た者は思ったはずだ。『ずいぶんと若いのに入れ替えてきたな…』と。正直に言って、筆者はこれで優勝できるとは思わなかった。
今になって思えば、アラサーの有名選手を数人外したのは「チャナティップ・ソンクラシン中心のチームにする」という意思表示だったのかもしれない。
「タイのメッシ」と言われる小柄なドリブラー、チャナティップはその期待に応えているといえる。縦関係の2トップの一角、あるいは3トップの一角として前線の要となり、仕掛けで相手DFを混乱させ、仲間にチャンスを与える役割を十分にこなしている。
スズキカップではそれらのテクニシャンが生かされた攻撃が機能し、高いレベルのサッカーで頂点に上り詰めたのだ。
このチームの攻撃の中心はチャナティップ+左サイドだ。それはティーラトン・ブンマタンだけではなく、チョンブリの若きレフティ、クルークリット・タウィーカーンの存在が大きい。
小柄ながら切れのあるボールタッチとクロスを持ち、そして周囲のチャナティップとティーラトンを生かしていく。
右はモンコル・トッサクライであろうがサラウート・マスクであろうがプラキット・ディープロムであろうが、あるいは守備的になってポックロー・アナンが回ろうが、日本にとってそこまで問題にはならないだろう。
しかしティーラトンとクルークリットで構成される左はこのチームの強みであり、止めなければならないポイントだ。今回も酒井宏樹の仕事は多そうである。