では弱みはどこ?
左サイドでのクルークリット+ティーラトン、そしてチャナティップによるチャンスメイク。ティーラシル・ダンダの得点。そしてセットプレーで良いキッカーがいる。これが「タイの強み」である。
では欠点というのは何なのか?それは「アジアのバルサ」と言われつつ、別に強い相手にそれができるわけではないということだ。
タイ・プレミアリーグのチームと戦ったJリーグのクラブのファンはよく知っているだろう。別に相手がティキ・タカだと思ったことは一度もないはずである。
スズキカップではあれだけの攻撃を見せて優勝はしたわけだが、シンガポール戦では簡単なクロスから失点しており、マレーシアには3試合で5失点を許している。
その時よりも守備は間違いなく向上はしている。試合を見ていてもそれは明らかだ。
当時は「ティキ・タカ」の重要な要素であるコンパクトさが全くと言っていいほど存在せず、目に見える上澄みだけを掬ったようなサッカーだった。
しかし先日のサウジアラビア戦でも見せたように、タイ・プレミアリーグでは引いて守れるチームも近年は多く、それをベースに耐えられる状態にはなっている。
ただ、それでもチームとして完成度が高いかといえばそうでもない。サウジアラビア戦で守れたのは、むしろ相手の攻撃に強みがなかったことのほうが大きい。
守ればそれほど攻められない。攻めればコンパクトさを失いやすい。このチームは同じようなメンバーで3年目を迎えるが、強豪を相手にした際に攻守両面を追っていけるだけのクオリティはまだ感じられない。
その点で言えば、日本がこの試合で必要とされるのは、やり抜くことだ。攻めきるのか。守り切るのか。近年ビジネスの世界でよく聞く単語、『Grit』であるといえば今風だろうか?
結果を残そうとして臆病になり、中途半端になるべきではない。タイにはセットプレーで日本から点を取れるだけのクオリティは充分ある。しかし、サウジアラビア戦の後半スタートでも見せたように、プレッシャーを受けながら余裕を持ってキープできるほどの技術があるわけでもない。膠着状態に持ち込まれると危ないだろう。
サウジアラビア戦終了後に抗議でレッドカードを受けたサラク・ユーイェンは出場停止だが、それに代わるのはシリル・シャピュイか、あるいはかつてガイナーレ鳥取でプレーしたアドゥル・ラフソになるようだ。
特別な戦術は必要ない。勇気さえ持って戦えば、アウェイでも日本にとって致命的な問題はないはずだ。
タイ代表対日本代表の試合は本日21:15キックオフ予定。テレビ朝日系では21:00から、NHK-BS1では20:55から放送される。