「ハズレ予想」の根拠-「東京ユナイテッド」と「Bリーグ」

ジャーナリストで研究者を名乗るなら、自らの誤りは認めなければなりません。的外れな主張を言いっ放して恥じないのなら、それは無責任なデマゴーグでしかありません。

今回の「東大・JFA連携協定」の情報を見た時、私はある「衝撃的な発表」があるのではないかと推測していました。

根拠は「東京ユナイテッドFC」の発足です。東京大学ア式蹴球部のOB有志で作る「東大LB」は天皇杯優勝3回、慶應義塾大学ソッカー部OB有志の「慶應BRB」は同6回の超古豪でしたが、両者が2015年に合併して「LB-BRB TOKYO」を作り、世界的なビッグクラブを目指した道を歩み始めました。

そして12月5日、2017年シーズンから「東京ユナイテッドFC」へ改称すると発表し、「2020年」という明確な期限を切って文京区からのJリーグ参入を宣言しています。

しかも同時に税理士法人と弁護士法人、それにコンサルティングファームの設立も発表する手回しの良さ。

LB-BRB TOKYO 公式サイト(2016年12月5日付)
LB-BRB TOKYO チーム名称変更に関するお知らせ

繰り返しますが、このクラブは東大のある「文京区」にこだわっています。最大のスポンサーは区内に本社のあるあのフクダ電子ですし、文京区長の成澤廣修(なりさわ・ひろのぶ)をスペシャルサポーターにして友好関係を作っていますが、東京の準都心地区である文京区でJリーグ対応のスタジアムを用意するのは大変です。

いや、実は一つあります。東京ドーム。Jリーグの草創期には天然芝のパネルを張ってプレシーズンマッチをやりましたが、2007年に張り替えた「フィールドターフ」でFIFAの認定基準をクリアし、2014年に敷いた現在の「フィールドターフHD(進化型)」でもFIFAの公式戦を開催できます。

ただ、JFAも大学リーグやアマチュアの地域リーグなどでは既に人工芝が解禁しましたが、Jリーグはまだ「天然芝」限定。もちろん、プロ野球の読売ジャイアンツの本拠地で、多くの大規模ライブでも利用されている東京ドームを週末の1日だけ飛び飛びで使う事の難しさも考えなければなりませんが。

そこで、「BUNKYO 2020」を掲げた東京ユナイテッドFCの発足とこの東大・JFA連携協定がシンクロしたのは偶然ではないだろう、すると、本郷キャンパスの構内にある御殿下グランドを整備して、J1リーグが開ける1万5千人、あるいはJFAが以前から欲しがっている国際級のサッカー専用スタジアムの建設発表までひょっとしたらあるのか、それでわざわざインファンティーノまで引っ張ったのか……という万馬券級の予想を立てていましたが、12月16日の会見ではその話は出なかったので「ハズレ」です。

ただ、結果は受け入れますが、負け惜しみは言います(苦笑)。

記念式典で最初に挨拶に立った鈴木大地スポーツ庁長官が引き合いに出したのは青山学院でした。渋谷駅と表参道駅の中間、徒歩10分程度で着く一等地にあるこの青山キャンパスには大学体育館として使われる「青山学院記念館」がありますが、日立製作所のバスケットボールチームに本拠地として使わせる事となり、「日立サンロッカーズ東京・渋谷」としてBリーグ1部への参戦が実現しました(……うう、Bリーグと聞くとまた頭痛が……)。

青学卒業生のサザンオールスターズにコンサートで貸し出した例はあったようですが、大学施設がプロスポーツの本拠地となるのは日本では前代未聞でした。これこそ、「教育」と「興業」の垣根を取ったスポーツ庁設置の効果でしょう。ならば、東大構内でJリーグをやっても、もう大きな問題はないでしょう。

もう一つ、別の根拠は次の部分で。

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