デヤン・ロヴレン
「戦争はまるで昨日のことのようだ。話すにはあまりに繊細すぎる物事だ。人々はまだそれを口に出したがらない。悲しいことだからだ。
僕がこの取材を受けると伝えたら、母も言っていたよ。
『戦争について話さないで』と。僕は答えた。『いや、僕はそれを話すつもりだ』と。
彼女は泣いていた。これについて話すのはいつも繊細なことだ。彼女はすべてを覚えているからね。
でも、僕は思っているんだ。次の世代になら、これを話すことがより容易になると。息子や娘にね。
おそらく、彼らはこれらを忘れてしまうだろう。そして前に進んでいく。
子どもたちは、両親の置かれていた状況を、僕が経験したことを理解する日が来るのだろうか?それはわからない。全く違う世界に生きているからだ。
もし娘がおもちゃを欲しがったら、僕は時々言うんだ。『お金はないよ』と。
彼女は僕が言っていることを理解し難いんだ。しかし、簡単な物事など何もない。それを理解する必要があるんだよ。
僕は彼女のために一生懸命働いている。20個のおもちゃなんて必要ではないと理解しなければならない。1~2個のおもちゃでも、幸せを感じなければいけない。
今難民たちに起こっていることを見ると、僕は自分の過去、家族の過去を思い出す。そして、どのように人々が自分たちの国を追われたかを。
人々が、難民に『自分たちで解決してほしい』と思っているのは理解できる。しかし、彼らは家も持っていない。そして、これは彼らの失敗でもないんだ。
ただ子どもたちを守るために戦っている。彼らは自分たちの家族、そしてその未来が安全なものになる場所を探しているんだ。
僕はそれを経験してきた。そして、多くの家族が今それを通り抜けようとしていることも知っている。
彼らにチャンスを与えて欲しい。難民たちに次の機会を許して欲しいんだ。良い人が誰なのか、そうでない人が誰なのか、それを見極めてくれ」
戦争に翻弄されたロヴレン、世界に渾身の訴え
Text by 石井彰(編集部)
カズに憧れて全身赤のスーツを買ったことで校内一の人気者になったが、中身が伴わず一発屋で終わったというエピソードを持つ島根県出身のエディター。その影響か赤いチームを好み、ヴァランシエンヌ、レイションエス、ノッティンガム・フォレストなどを応援している。
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