1. 実況、解説の多様化
確実な変化として挙げられるのは、実況と解説の多様化だろう。
私自身、『DAZN』の参入によって最も恩恵を受けるのはコメンタリーだと考えている。
『DAZN』で放送されるサッカーコンテンツは、とにかく多岐に渡る。
ブンデスリーガやセリエA、リーグアンといった欧州5大リーグだけでなく、日本にいながらフットボール・リーグ・チャンピオンシップ(イングランド2部)やクプ・ドゥ・フランス(フランスサッカー連盟主催のカップ戦)といったコンペティションも視聴が可能となった。全試合を配信するというリーグもあるのだから驚きだ。
そのため中継される試合数も自然と増え、『DAZN』では新しい実況や解説をどんどん起用している。
実況では昨年4月にフリーに転向したばかりの川井淳史氏が起用され、『スカパー!』で横浜FC戦を担当していた喜谷知純氏がDFBポカールを担当。かつて『スカパー!』でUEFAチャンピオンズリーグなどを実況していた大庭荘介氏が約10年ぶりに欧州サッカー中継に復帰していたのは驚いた。
また解説でも同様の流れが見られ、これまでは主にJ3を担当していた“ジロー”こと清水範久氏はコパ・デル・レイに。さらにはメディア関係からの抜擢も目立っており、これまで寄稿や編集を専門としていたライターやジャーナリストが新たな風を吹き込んでいる。
Jリーグ、さらには春秋制を敷く他リーグの開幕によってこの傾向はさらに強まることが予想される。『DAZN』の参入により、これまでやや閉鎖的であったサッカー実況と解説の門戸は開放されたのだ。