ちなみに、『DAZN』では実況1人が試合を担当するケースもある。これだけ試合数が多ければ当然だろう。
この“1人実況”は海外では比較的見られるスタイルだが、日本のサッカー中継ではほとんど例がない。
DAZNにて「ナント×パリ・サンジェルマン」実況わず。特に前半はハイテンションのいい試合でしたね。ヴェラッティの謎プレーも失点にはつながらず(笑)。カバーニはクロスに点で合わせるのは鉄板!
一人実況のやり方は試行錯誤中ですので、要望ありましたら是非教えてくださいね! #PSG
— 西 達彦 (@nishitatsuhiko) 2017年1月21日
リーグアンで“1人実況”を行った西達彦氏は、その手法について「試行錯誤中」と綴っている。
2. 実況、解説の成熟と淘汰
『DAZN』の参入は、実況や解説の門戸を広げるだけではない。両者にとって鍛錬の場となるはずだ。
そもそもの話だが、今の日本では良いサッカー実況が育ちにくいという現状がある。
その理由は、地上波民放ではサッカーの試合を扱う機会が皆無に等しく、衛星放送でも起用されるメンバーは固定化されつつあるからだ。
その点、『DAZN』の実況は今後も需要が高くなるはずだ。
マイナーリーグの情報も自ら収集せねばならないし、中東やアフリカでは予測不能の事態だって起きる。スポーツ実況を志す者にとってはこれ以上ない修行の場になるはずで、業界全体の底上げにも繋がる。
実況の世界でもいわゆる局アナがフリーに転向しやすくなり、原大悟氏や西達彦氏のように局アナ経験を持たないサッカー実況が誕生することも十分にありうるだろう。
そうした成熟は、ある程度の淘汰をももたらすかもしれない。
これまでただなんとなく解説者を務めていた人が新進気鋭のジャーナリストに取って代わられたり、引退したばかりの元プロ選手が一躍“エース格”にのし上がるといったことがより起こりやすくなるわけだ。