3. 新規Jリーグファンの創出
『DAZN』によって恩恵を受けるのはもちろんメディアだけではない。サービスを享受するユーザーにも、新しい価値をもたらすだろう。
『DAZN』は様々なスポーツコンテンツを扱うライブストリーミングサービスである。取り扱うスポーツコンテンツの数は130で、配信される試合数は年間6000以上にも及ぶ。サッカーはあくまでコンテンツの一つだ。
そのため、これまではサッカーと距離のあった他スポーツのファンを誘引できるチャンスである。
これまでサッカー中継を牽引してきた『スカパー!』では、基本的にユーザーは「見たいものだけを選んで見る」のが当たり前だった。
それぞれの用途に応じたセットが販売されており、サッカーでは「欧州サッカーセット」、「Jリーグセット」といったようにより細分化されたパッケージが用意された。
これにより、サッカーコンテンツはサッカーファンの間でしか共有されず、ファン間での“越境”や“横断”がなかなか見られないという状況にあった。
しかし、『DAZN』は違う。
あらゆるスポーツコンテンツが視聴可能であり、バレーボールのファンがF1を見ることも、プロ野球(NPB)のファンがメジャーリーグ(MLB)を見ることだってできる。
これまでサッカーに興味がありながら、なかなかJリーグと接する機会のなかった人もタップひとつですぐに観戦できてしまうのだ。
私自身、Jリーグの魅力は予測不能なドラマ性や選手とサポーターの絆、サポーター同士の交流、快適なスタジアム環境だと思っている。
そうした部分は十分世界に誇れるものであるが、実際にスタジアムに足を運んだり、シーズンを通して見続けたりしなければなかなか気付いてもらえない良さであるというのが個人的な見解である。
そのため、他競技や海外サッカーのファンを誘引する意味でも、Jリーグがサービスの一つに入っていることは非常に意味のあることだ。