「音楽でスタジアムの空気を作る」

――長くなりましたが本題へ(笑)。今回の記事のタイトルは「スタジアムDJって必要ですか?」と。それがいないクラブもある中で、DJという存在がなぜ使われるのかということを探っていこうと。ちょっと挑戦的ではありますが。

むしろ、そう思っているサポーターはいると思います。「邪魔なんだ!」とか、「あの声嫌い!」とか、「あの盛り上げ方嫌い!」とか。

100人いて100人に好かれるタレントは絶対いない。もちろん、100に近づける努力はしますけどね、諦めたらゼロになっちゃうので。

――まずは、DJらしく音楽の話をしようかなと。バスケや野球は音楽の使い方が確立されている感はありますが、サッカーはまだうまく固まってないですよね。

固まっていないからこそ、各チームが工夫をこらして考える余地があるのかも。ボクは、試合前やウォーミングアップ、ハーフタイムのBGMは、ビートのはっきりした曲でエモーショナルなものを選ぶようにしています。特にウォーミングアップや選手入場時は、拳を突き出したくなるようなものを。ゴール後や勝利後のSEには「ナナナナナ…」というコーラスがある曲を使って、「奈良」と置き換えて口ずさんでほしいな、という願いを込めています(笑)

選手からは「終了後のクールダウンのときにかかっている曲名を教えてください」と聞かれたり、サポーターさんからは「他のチームが使っている曲をそのチームと同じタイミングで使わないで」と提案してもらったりもしました。

やはり、音楽が持つパワーやメッセージにも助けてもらいながら進めていきたいですね。これからは、奈良出身のアーティストだったり、選手やチームと近しいアーティストの曲を使ってみたいとも思っています。それこそ「自分たちの曲は奈良クラブのスタジアムの雰囲気に合うからかけてくれ!」というオファーがあってもいい!(笑)

――試合中は選手の動きとの関係も出てきますよね。声が消えてしまうとか。そこはどうバランスをとってますか?

それこそ、審判や選手を見てますね。スコアの状況によって喜び方が変わるから、コールのスピードを調整出来たらいいなぁと。貴重な先制点なのか、逆転ゴールなのか。それが大きい意味を持つのかどうか。

勝利に近い状況なら溜めて言ったり、一点を追う場面なら早くしたりとか。そういうところはどこのDJもやってるんじゃないでしょうか。