「声には想いが絶対に乗る」

――最後になるんですが、地域リーグからJFLに上がったという経験から「DJがクラブの成長に役立てること」ってなんだと思いますか?大まかに分けるとピッチの中、観客席、そしてその他の地域。その3つに分けて。

深いですね。SNS時代ならではの質問かも。

――SNSもそうですし、地域活動もそうですし。今こそDJでもクラブの成長に役立てる時代になったと思います。

ピッチの中と観客席以外の部分では…できていなくて本当に申し訳ないのですが、ボクがタレントとしてもっと有名になれば、大きな規模の発信ができる!(笑)ただ、そこは狙ってできるものではないので(笑)

現状としては、「発信の中に魅力を足せるかどうか」ですかね。ただ、「観に来てね」と言うだけではなくて。「こういう部分を楽しんでほしい」とか、「この選手のこういうプレーを」とか。

幸運なことに、奈良クラブのスタジアムDJ以外のお仕事もいただけているので、その繋がりの人たちにも伝わるように発信すれば「知ってもらえる機会にはなるかな」と思っています。

――チームのことを好きになれるかどうか。

それもありますね。「こんないい選手がいる」とか、発信することがスタジアム外では求められますからね。スタジアムDJ一本で仕事していることはないから、それ以外の繋がりにどう発信できるかは重要です。

――スタジアムの中に関しては?

「嫌な雰囲気は作らない」ということですかね。お客さんに「もうここに来たくない」と思わせないように、居心地の良さは提供したいです。

人間の耳って不思議なもので、嫌なものが入ってくるとその先をシャットアウトする。あるいは、そこだけ耳に付いてしまう。例えば…授業で先生の口癖を数えたこととかありますよね?その時、本質はもうシャットアウトしてるもんです。

そうさせないための「言葉選び」や「音楽選び」をしています。100人全員に好かれることはないけど、それに近づけるためのアナウンス、声の使い方で。

――ピッチ内に対しては?

僕は交代選手に対して一番力を入れているから、そこに「こんなに期待してるんだよ」という思いを届けるようなアナウンスはするように心掛けています。

選手と食事したときに話したら、「交代の時は監督からの指示を伝えなきゃいけないし、集中もしているので聞こえないです」と言われましたが(笑)。でも、「これだけの想いを込めてるんだよ」というのが伝わるようにしているつもりです。

10数年タレント生活をしてきて思うのは、「声には絶対に想いが乗る」。その感情を届ける役目でありたいなと。

今、声優や俳優を目指す学生が通う専門学校で先生もやらせてもらっています。

喋りの技術を向上させることを教えるわけですが、技術があれば人に伝わるレベルが格段に上がります。また、技術がなくても人の心に届く喋りは確かに存在します。それこそ、赤ちゃんや子どもの泣き声は、泣くことしかできないし、理由があって泣いているから、耳に残るし、伝わるものです。何ていうか、想いを乗せてあげることが技術よりも重要だなと。

チームの代表であり、サポーターの代表であり、みんなが思っているものを届けることが、「スタジアムDJに求められること」なんじゃないでしょうか。

どうでしょう?綺麗に締まったと思うんですが(笑)