DFラインは、ダニーロ、チアゴ・シウヴァ、ジェメルソンがいつもの顔ぶれと違うが、彼らが本大会メンバー入りにかける思いは強く、特にチアゴ・シウヴァは、セレソンで長きに渡って守備の要として君臨してきた実力者だ。
度重なる怪我の影響もあって、「全盛期は去った」と見られることも少なくないが、それでも世界屈指のセンターバックであることは自明の理。人にもボールにも強さを発揮し、奪ってからのディストリビューションにも陰りはない。このタイミングでレギュラー復帰を果たし、「PSGでコンビを組むマルキーニョスと共に代表でもセンターバックを築きたい」という思いは今でも持っているはずだ。
中盤に目を移すと、不動のカゼミロがアンカーに位置するが、ここでハイレベルな争いを見せているのがフェルナンジーニョ。
シティで彼をよく知るグアルディオラが「世界最高の守備的MF」と評する選手であるが、代表レギュラー争いでは後手を踏んでおり、今回は一つ前のインサイドハーフとしてプレーする予定だ。
名を上げたシャフタール時代がそうだったが、元々は攻守で存在感を見せられる選手のため、今回の起用で良さをより発揮できる可能性はある。いずれにせよ、彼としては、「現レギュラー格のパウリーニョとはまた違った特長を見せよう」と躍起になるはずだ。
またその考えは、トルコのフェネルバフチェで活躍するジュリアーノも同様だろう。
彼が戦うポジションは、フィリペ・コウチーニョの”聖域“だ。世界最高峰の攻撃的MFを相手にその序列を崩すことは極めて難しく、ダイナミズムとテクニックを兼ね備えたレナト・アウグストの存在があることも忘れてはならない。
仮にフェルナンジーニョがインサイドハーフでレギュラーを掴むような展開になれば、インサイドハーフは、パウリーニョ、レナト・アウグストがバックアッパーとなるだろう。
となれば…ジュリアーノの未来は明るいものではない。
得点力もアシスト能力もあり、オフザボールの動きでも貢献できる高性能な万能型アタッカーではあるが、危機感で言えば、フェルナンジーニョ以上のはずだ。
つまるところ、彼らは「1.5軍」と評価するには失礼なメンバーであるということだ。
また、ほとんどの選手のモチベーションは「1軍」以上であるということは間違いなく、少なくとも選手には「日本をなめる」という感覚はないと断言できる。相手の力を推し量るような淡白なプレーではなく、自らの最大限のパフォーマンスを出そうとするはずだ。
そして、その観点では、日本代表のメンバーにも近いものがあるだろう。
「この欧州遠征を転機にロシアW杯へ!」
誰がその強い思いをピッチ上で表現してくれるのだろうか。
彼らの鬼気迫るパフォーマンスからは目が離せない。