シニシャ・ミハイロヴィッチ

「ベオグラード大学の教授が練習を見に来た。彼らはボールの動きを理解できなかったようだ。高く上がり、思わぬ落ち方をして、左に、右に曲がる。

彼らが計測できたのは唯一スピードだけ。一番早いもので165kmだった。他は何も理解できなかったようだね!」

「サンプドリア戦で、3回のフリーキックを蹴り、3つのゴールを奪った。

ゴールキーパーはファブリツィオ・フェロンだったね。サンプドリアではともにプレーした事がある友人だ。

試合前、私は彼に言っていた。『おいフェロ、フリーキックを予想しようとするなよ。蹴る前に動くな。オレはキミを見ているからな』と。

彼は言った。『心配するな、動かないさ』と。

ただ、フリーキックでゴールを決めるのは普通のことだ。彼が動かないことは分かっていたから、壁を超えることに集中した。

様々なスタイルで蹴ることが出来た。いつも同じ立ち上がりをし、最後のステップでゴールキーパーをちらっと見る。

彼がもし動かなかったら、壁の上を超えて落とす。小さなステップを踏んだら、壁の外に回す。

最後のステップを早くするか、遅くするか。遅くした場合、壁の上を超す。スピードアップしたら、壁の外だ。私にとっては複雑なことではない。

やったことがないものは、アンドレア・ピルロの『マレデッタ(呪われたフリーキック)』だけだ。




あのキックは理解できなかった。ありゃ、ボールはどうなってんだ?

かなり高い位置まで上昇し、そして落ちていく。特殊だ。試したこともない。引退してから出てきたものだったしね。

あれを学びたいね。そして、どうやってやるのか説明して欲しいよ」

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