「壁」に直面するドイツ

イタリアがいないこのロシア大会、ブラジルを止められる可能性が一番高いのはドイツという予想になるでしょう。そもそも、前回は相手のホームで7-1の圧勝劇を演じ、さらにヴェルトマイスターになったのですから、そもそもチャレンジャーのような言い方をする方がおかしいのです。

ところが、マンシャフトはまだ戌年での優勝がありません。

<表3> 過去の「戌年」W杯でのドイツ(西ドイツ)の成績

「絶対にベスト8は外さない」ですし、「6回中5回はベスト4まで進む」その堅実さはジャーマンシェパードのようで、その安定性はカナリアすらしのぐのですが、準決勝に大きな壁が立ちはだかります。ここでの結果は1勝4敗。1934年ではチェコスロヴァキア、1958年ではスウェーデン、これは準々決勝ですが1994年にはブルガリアと、勢いに乗った相手が史上最高成績を納めるときの引き立て役になる傾向があるのです。

残り3回のドイツの敗戦は唯一の決勝進出だった1982年を含めて全部イタリアが相手でした。これを除くとW杯本大会での対戦成績は2引き分けのみなので、いかに「戌年のアズーリ」にドイツが跳ね返されてきたかが分かります。その難関が消えたのは朗報でしょうが、果たして今度こそ決勝まで行けるでしょうか?

「青の時代」の予感

イタリアのアズーリと同じ深い青のユニフォームで世界中に知られているのは、日本よりもやはりフランスでしょう。その成績はこうでした。

<表4> 過去の「戌年」W杯でのフランスの成績

確かにドイツほどの堅実さはありませんが、この「プードルの国」の代表、レ・ブルーの成績は決して悪くありません。自国開催で優勝した1998年は寅年なのですが、戌年でも本大会に進んだ4大会のうち3回は準決勝まで進んでいます。1994年の欧州予選の最後でブルガリアに敗れた「パリの悲劇」のような事もありますが、今でも1大会での最多得点記録になる13ゴールを挙げた1958年のジュスト・フォンテーヌ、当時の西ドイツとの準決勝を「史上最高の試合」と呼ぶ人も多い1982年のミシェル・プラティニ、そしてアウェー開催で宿敵ドイツを倒した2006年のジダンなど、名選手の記憶が重なります。

開催国のロシアはフランスと歴史的に深い関係を持っているので、その意味でも今回のW杯でのフランスの活躍には注目しています。

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