理想のクラブはオリンピック・リヨン

大滝は早稲田大学時代、1年目から50得点を挙げるなど得点を量産する。2年生時にはユニバーシアード・ベオグラード大会での活躍が注目を集め、カナダの強豪ヨーク大学から誘いを受けて2カ月半の短期留学。カナダの大学選手権で全国優勝に貢献し、14試合14得点で得点女王とMVPをダブル受賞した。

そして大学4年生時のユニバーシアード中国大会でも6試合8得点。得点女王を獲得し、準優勝した日本を牽引した。特にフランスとは2度対戦して共に2ゴールの計4ゴール。その時のフランスのベンチには、オリンピック・リヨンのアシスタントコーチが座っており、トライアウトに招待された。

そして2012年1月、大滝は晴れて「特別なチーム」リヨンへ加入した。

リヨンは男子トップチームが2001-2008年まで国内リーグを7連覇し、「リヨン王朝」と呼ばれた強豪。女子にいたっては現在リーグ11連覇中で、2011年の女子欧州チャンピオンズリーグ初制覇から、すでに大会史上最多タイの4度の欧州制覇を成し遂げている。

また、現在男子の欧州サッカー最前線で活躍するカリム・ベンゼマ(現レアル・マドリー)や、アレクサンドル・ラカゼット(現アーセナル)、サミュエル・ウンティティ(現バルセロナ)らを輩出した育成組織の充実ぶりも際立つ、「理想的なクラブ」だ。

――やっぱり、振り返ってみるとオリンピック・リヨンは理想のクラブでしたか?

リヨンは特別ですね!女子チームも完全プロチームとして組織されていて、月収200万円を貰っている選手もいます。

――ジャン・ミシェル・オラス会長(※)とはお話されましたか?

普通によく話していました。オラス会長が来てからリヨンは強豪に生まれ変わったので、クラブ外に敵を多く作ってしまう人なのかもしれません。

でも、私は好きですし、クラブの内側の人達にとっては気さくにお話してくれる良い会長さんです。オラス会長が『女子サッカーに力を入れたい』と、投資してもらっているからこそ、理想が実現できています。

ただ、それをなでしこリーグのチームに照らし合わせることはできないですね。

(※オラス会長:1987年にリヨン会長に就任。 「ヨーロッパビッグクラブ連合体」とも呼ばれる『G14』の代表も務めた欧州屈指の辣腕会長)

――リヨンで仲が良かった選手は?

1番仲が良かったのは、キャプテンのフランス女子代表DFワンディ・ルナール選手です。今も仲良くしていて、今度日本へも遊びに来てくれるんです(笑)

――大滝選手は現役を離れてからコーチもされていたと伺いました。日本では女性指導者の少なさが危惧されますが、フランスではコリーヌ・ディアクルさんが女性監督として男子プロリーグ2部のクレルモン・フットを3シーズン指揮されました。現在はフランス女子代表を指揮されていますが、何か情報をお持ちなのでは?

直接話をしたことはありません。ただ聞いた話によると、現役時代はフランス女子代表選手として121キャップもあるレジェンド的選手だったのに、女子代表監督に就任された時は全く女子サッカーのことを知らなかったらしいです。

でも2部とはいえ、男子プロリーグで最優秀監督賞を受賞するのも納得の斬新な練習や考え方をお持ちです。面白いし、凄いことをしている監督さんですね!