何故Jリーグが獲得できた?
では、なぜそんな選手が日本へ来たのだろうか。
1つは純粋に給与面の問題があるだろう。オーストラリアのシドニーFCではボボ(元ベジクタシュ)、ミロシュ・ニンコヴィッチ(元セルビア代表、元ディナモ・キエフ)の2人がマーキープレイヤーで彼の給与は抜群に高いものではなかったからだ。
同僚のアドリアン・ミエジェイェフスキはポーランド代表41capを誇り、525万ユーロ(およそ6億8000万円)という当時のポーランドリーグ最高移籍金でトルコのトラブゾンスポルへ移籍した過去がある。彼もまたマーキープレイヤーでなかったが、活躍を見せジョニー・ウォーレン・メダルというAリーグ最高の栄誉を勝ち取り、この夏に中国の長春亞泰へ移籍している。
こうしたAリーグで欧州でも実績のある外国人が短期間活躍した後に他チームへ引き抜かれるというのは1つのルートになっている。マーキープレイヤーではあるがボボも再びトルコへの移籍を決めているし、ウェリントン・フェリックスのマルコ・ロッシ(元パルマ)のように母国の下部リーグ(ロブル・シエナ)へ戻るというものもいる。
もう1つは単純にV・ファーレン長崎の手腕であろう。こうした日本へ来ることはできるが見落とされた選手というのは実に多いように感じる。何かと言えば韓国人、ブラジル人でJリーグの実績があるかどうかをチェックし、冒険をしなくなっているJクラブが多い中で、オランダ人でJでの実績のない選手をJ1で獲得するというのは大きなチャレンジだ。ヨーロッパのベテラン選手は往々にして怪我や運動量、スピードといった面で難を示しあまり試合にでずに去っていった物も少なくないからだ。
そうした中で、同じ九州の鳥栖がフェルナンド・トーレスを獲得したのと並び、長崎がヨルディ・バイスの獲得は大きく意味のあることだ。
大きな期待と共に後半戦の長崎の奮闘ぶりを見守りたいと思う。