“ブラウ・グラーナ”の王に

再びメッシが輝き始めた理由は何だろうか?まず第一に、「キャプテンとしての使命感」が挙げられるかもしれない。

メッシはアルゼンチン代表で主将を務めてきたが、性格的に温厚で周りを強引に引っ張るタイプではなく、そのことでマラドーナから「リーダーの器ではない」とまで酷評されたこともある。

しかし現代における“リーダー像”は必ずしもマラドーナの時代のようなものとは異なる。

寡黙で驕らず、飾らない姿勢は周囲の尊敬を集めており、彼自身も年齢とともに若い選手を引きたてながら自らも生かされる術を身に付けてきている。

また、代表のことも影響しているかもしれない。今季は昨夏、日本代表を引退した長谷部誠がフランクフルトで輝いているが、メッシもワールドカップ後、先月まで招集を辞退していた。そのことで心身共にリフレッシュできた面はあるだろう。

もう一つはフリーキックだ。もともと高い精度を誇っていたが、近年より技術を向上させており、彼は昨年の公式戦だけで10ものゴールをプレースキックから奪った。

過去には7が最高であったことを考えれば、大幅に強化されているといえる。

かつてプルガ・アトミカ(強力なノミ)と言われた頃のキレッキレのドリブルを発動することは稀になった。しかし経験に裏打ちされた技術と研ぎ澄まされた集中力はむしろ凄みを増している感すらある。

リーグ戦は4試合を残している。5年ぶりのリーグ40得点、そして4シーズぶりとなるCL制覇も視界に入ってきた。