メッシを“高める”チームメイトたち

主将として仲間の力を引き出しているメッシだが、一方でチームメイトたちに高められてもいる。

昨年、メッシは率直な心情を吐露したことがあった。

「僕たちは常にバルサだ。

だけど、実際にはブスケツ、チャビ、イニエスタによって90%のポゼッションができていたんだ。今ではチャビもイニエスタもない。

チームの誰がいいとか悪いとかは言いたくはない。だが、彼らは唯一無二だった」

ロナウジーニョやエトーがいた時代にデビューしたメッシだが、今や彼らはもちろんチャビ、イニエスタもいない。

ライバルとして君臨したロナウドもスぺインを去り、孤独感は確実に増しているはず。メッシは「ロナウドが恋しい」と素直に述べている。

しかし逆にそれがチームに血の循環を促し、結果としてメッシを高める効果につながっているのかもしれない。

スアレスから「仲間のためなら自分の命も差し出すタイプ」と形容されたビダル、ボルドー指揮官から「いくつかの点でリオネル・メッシに似ている」と言われたマルコム、メッシ自身が「彼は世界最高の1人になれるよ」と絶賛するデンベレ。

従来のバルセロナとはやや異なるメンタリティを持った選手たちが刺激を与え、同時に新しいメッシを生み出しているとも言えるだろう。

そこにブスケツにピケ、ラフィーニャ、セルジ・ロベルトら生え抜きに、アルバやアルトゥール、足元に長けたGKテア・シュテーゲン。

バルセロナの精神を理解する選手たちの支えによって、メッシは世界の頂点に君臨することができているのだ。