至福の瞬間「カモンロッソ」

――黒木選手は高校時代まで、地元の熊本でプレーされていました。佐賀大学、サガン鳥栖を経てロアッソ熊本へ加入したわけですが、ご自身の中で熊本へ戻るきっかけというか理由は何だったのでしょうか?

2012年に鳥栖へ入団して(※それまでの2シーズンも特別指定選手としてプレー)、翌年の2013年に熊本へ戻ってきたんですけど、九州の大学の同期とかがJ2などで活躍している一方、僕は鳥栖でほぼ試合に出ていませんでした。だからまずは試合に出たいという思いがありました。

J2に行ったからといって必ず出られると思っていたわけではないですが、熊本の話があって、地元でしたし、絶対に活躍してやるという気持ちで戻ってきたのは覚えていますね。ここで結果を出したいという思いは強かったです。

――そこから今年で8年目です。ロアッソ熊本はどんなクラブですか?

本当に地域の方々に愛されているチームだと思います。もちろん、J2、J1と行けばクラブの状況はもっともっと良くなるでしょうけど、J3でもたくさんの方たちに応援していただけますし、環境や戦力的にもやはりJ3にいるべきチームではないと思います。

本当は昨年1年でJ2へ復帰しなければいけなかったんですけど…。ただ、今年はそれができると思っています。

――ロアッソ熊本と言うと、「カモンロッソ」というチャントが一つ象徴としてあるのかなと思います。「カモンロッソ」は選手としてどうですか?

サポーターの方も本当にあれを楽しみにしてくれていると思うんですよね。

今ではバックスタンドやメインスタンドの方も試合に勝ったときはゴール裏へ来てくれます。一体感があって、あの瞬間はすごく嬉しいです。サポーターの方も嬉しそうな顔をして飛び跳ねてくれていますし、自分たちも試合に勝って、一緒に喜び合える。

サッカー選手を辞めたらなかなかあんな幸せな時間はないんじゃないかと思います。

※ロアッソ熊本の名物チャント「カモンロッソ」。子供たちの笑顔が最高だ。下は大迫力の360°バージョン!

――「カモンロッソ」は外から見ているだけでも本当に幸せな気持ちになります。黒木選手の中でロアッソ熊本が“マイクラブ”と感じる瞬間はありますか?

僕は出身も熊本なので地元の友達が応援に来てくれますし、親も毎試合のように見に来てくれます。えがお健康スタジアムも高校生のときから使っているスタジアムなので、もうずっと自分の中ではホームグラウンドという感じですね。

高校総体や新人戦で「勝ち上がっていけばあのスタジアムでできる」という目標だった場所を、今はプロとして毎試合使わせてもらっている。本当にありがたいです。