マテウシュ・クリヒ
ファイタータイプが実に多いのが、ビエルサのチームのキャラクターだ。このポーランド人のセンターハーフも、その例に漏れない。
またも幼稚な表現しか出来ない事が悔やまれるが、私が最も気に入っている特徴は、キックにおける“ミート感”である。この男のボールスピードと球の軌道は、群を抜いて優れている。
そしてそれは、ダイレクトプレーにおいても同じである。プレイヤーとしてのスケールは別として、かつてのスティーブン・ジェラードや、マンチェスター・ユナイテッドのブルーノ・フェルナンデスにも感じる、ボールを面で“押し出す”ような感覚を持っている。
ビエルサはビルドアップから中盤における崩しの中で、カオスにボールをつけ、そこからダイレクトに叩かせる(ほとんどはレイオフに近いマイナス方向へのもの)ことの反復で、ギャップを作る事が多い。
昨季ストークをホームに迎えたゲームにおける、パブロ・エルナンデスのゴールはその最たるハイライトであるが、密集地帯もしくはその次のボールホルダーとなる狭いスペースにおいて、小さな振りでよりスピードのあるパスが出せる事は、大きなアドバンテージであり、ダイナミックな展開とリズムを生む上でより重要な要素と言えよう。
一方で、フィニッシャーとしても価値を生み出せるこのタレントは、フィリップスと並ぶ2つ目の心臓と言っていいだろう。