“カイザー”長谷部の存在

チームのピッチ上の指揮官といえば、今季の開幕を「ブンデスリーガ最年長選手」として迎えた長谷部誠であろう。

かつてドイツのメディアから“カイザー”(皇帝)と評され、アブラーム退団後に暫定で主将を任されている37歳のMFは、今季3バック中央のリベロを務めていたものの、一時的にポジションを失った。

ただこの現象は毎年11月~翌年1月頃に起きる、ある意味では“恒例行事”といえるかもしれない。

クラブは毎年この時期に翌年のチーム編成を計画する。そのため一時的に長谷部を先発から外し、翌年の戦力として計算するかどうかを見極めているのだ。

しかし結局は「必要戦力」として後半戦には先発復帰を果たし、もう1年間の契約延長するというのが恒例となっている。

(先日、“予定通り”契約を延長した長谷部)

今季も途中にリベロから外れたものの、年明け早々の第14節、バイヤー・レヴァークーゼン戦からボランチに復帰。この強豪相手に2-1と勝利を収め、「ボランチ・長谷部」が定着した。

失礼な対応かもしれないが、クラブ側は長谷部本人に対して、現役引退後にもクラブに留まってもらえるよう生涯契約を約束して信頼を示している。

その彼が、豊富な経験に裏付けられた試合運びで巧みにゲームの流れを読み、中盤でのボール奪取や正確なパスワークでチームに安定感を加えているのである。