■好調なチームが掲げるコンセプトは?

23節を消化して、15勝3分5敗の2位につける磐田。J1昇格圏内まで浮上したチームは、攻守にどのようなコンセプトを掲げて戦っているのか。

まず攻撃面では、最終ラインからのビルドアップを基調としたポゼッションスタイルが徹底されている。

ここでカギを握るのが、ボランチの遠藤だ。

長らくガンバ大阪および日本代表の中心選手として活躍したレジェンドは、パス回しの軸として君臨。最大の武器である正確なミドルパスは健在で、ポゼッションの質を高める司令塔として不可欠となっている。また、プレースキッカーとしても精度の高いボールを供給し、多くのチャンスを演出中だ。

そして、遠藤とコンビを組む山本康の働きぶりも見逃せない。万能型のミッドフィルダーとして知られ、以前にはサイドアタッカーとして起用されることもあった背番号23は、戦術理解度の高さを活かしてボランチの一角に定着。攻守をつなぐリンクマンとしての奮闘が光る。

一方の守備面では、コンパクトな守備ブロックの構築が基本コンセプトだ。

両ウイングバックと両シャドーが素早く帰陣して「5-4-1」の守備ブロックを形成し、コンパクトなブロックで相手の攻撃を寸断。中央をしっかりと固めて相手をサイドに追いやることで、失点のリスクをできる限り低くするのが狙いだ。

守備の安定は好成績に反映されており、特に第14節のザスパクサツ群馬戦から第20節のV・ファーレン長崎戦までは7試合連続完封勝利という文句なしの結果も残した。直近のリーグ戦3試合で計6失点を喫しているのは気掛かりだが、守備の要である大井を中心に今一度強度を高めていきたいところだ。