3月13日に2022シーズンの開幕を迎えるJFL。Jリーグ昇格を狙うプロクラブから、地域で戦う企業チームまで、様々な思惑を持つ者が戦うコンペティションだ。

今回Qolyでは関西地域でJFLを戦う4つのクラブ、FC大阪、FCティアモ枚方、MIOびわこ滋賀、そして奈良クラブの監督にインタビューし、今シーズンの展望を伺うことにした。

第3弾のゲストは、昨季JFL昇格初年度ながらも上位争いを繰り広げたFCティアモ枚方から、監督を務めている小川佳純さんをお呼びした。

選手から指導者に転身したのは2020年、ティアモ枚方の監督に就任した時だ。それからわずか2年でチームをJFLの有力チームに成長させてみせた。

小川監督は、自身にとって初めてのJFLをどう戦ったのか。そして今季はどのような準備をしてきたのか…。(取材日:3月8日)

【動画】ティアモ枚方、小川佳純監督がZoomでのインタビューに答えてくれた

――昨季の成績は14勝6分12敗、得点58失点57、勝点48の8位でしたね。

得点数に関しては、リーグで3番目に多い数字を残すことができました。攻撃では良かった点がありますが、ただ失点数がリーグでワーストでした。

僕の考えでは、得点を伸ばす方が、守備で失点を減らすことよりも難しいもの。ずっと引いて守るという戦術を選べば、得点を増やすことよりは簡単にできると思っています。

「攻撃に魅力のあるチームを作りたい」ので、前へ前へ行くという姿勢を常に90分間取り続ける中で失点をこれだけしてしまうんだな…というのは自分の教訓としてありますね。

リーグ優勝という目標を達成する上では改善しなければいけないポイントではあるので、今年は1試合平均2得点というところは目指しつつ、失点も抑えられるように改善していきたいですね。

一昨年ティアモ枚方の監督になってから、「たくさん点を取る、たくさんチャンスを作る」というチームを作りたかったんです。得点数という結果で出たということについては、失点よりもそちらにフォーカスして、自信を持って、いい部分として継続していけたらと思っています。

――昨年印象的だった試合は?

ホームの1対7で負けたHonda FC戦と、ティアモにとっての最終戦になったソニー仙台戦です。

JFLではHonda FCさんが一番力のあるチームだというのは対戦していても感じましたし、それをまざまざと見せつけられました。

選手個人の差、チーム力の差、個人的な監督としての力量。そういう部分も足りないっていうのを痛感させられたゲームでした。

このカテゴリーで戦うには、やはりこのチーム、この相手を倒さなければチャンピオンにはなれない。「ここに勝つために」という意識で取り組まないといけないなと。

それまでは3位あたりをずっとキープできていて、成績的にも上位にいた中で、あの差を実際に見せつけられた。まだまだ足りないなと。もっともっと、全てを成長させなければいけないな…と感じさせてもらった試合でした。

ソニー仙台戦については…4連敗で最終戦を迎えていて、ホームでどんな終わり方をするかというのを選手に説いたんです。

それを選手が本当にいいパフォーマンスとして発揮してくれました。去年のベストゲームでしたね。このチーム、この選手たちにはこれぐらいできるんだという。

――終盤は青森戦まで厳しい戦いでしたね。クラブとして初のJFLだったことは影響しましたか?

僕個人としては、Jリーグの選手としてアウェイに飛行機で行ったり、バスで移動して試合するということを経験してきました。Jリーグでプレーしていた選手にとっては、そこまで新しいことではなかったと思います。

大学を卒業してティアモに入った選手にとってはあまり日常的ではなかったと思うので、多少の影響というのはあったかもしれません。その移動のところで気を使う部分はありましたが、とはいえアウェイで勝率が非常に悪かったわけではないですし、そこまで大きな問題ではなかったと思います。

Jリーグがない地域のチームが多いので、初めて降り立つ空港に行けたりとか、僕としては非常に新鮮で楽しかったという記憶がありますね。