10個のタイトルを獲得した「中間管理職」
片野坂監督にとってG大阪は選手として2000年8月から1年半プレーした古巣である。
コーチとしても2度の在任期間(2007-2009年、2014-2015年)で5年間指導し、特に2度のJ1リーグ制覇や2008年のAFCチャンピオンズリーグ優勝など、コーチとして在籍したシーズンの全てでタイトルを獲得している。
また、2010年から2013年まで在籍したサンフレッチェ広島でもJ1を2連覇。西野朗、ミハイロ・ペトロヴィッチ、森保一、長谷川健太とJリーグ史に残る4人の名将の参謀として、在籍したクラブに合計10個の主要タイトル獲得に携わっている。
選手と監督の間を取り持つ「中間管理職」としても最大級の功績を残す優秀な指導者である。
そんな片野坂監督の「カタノサッカー」の代名詞といえば、何といっても3バックであろう。
最終ラインがGKを使いながら自陣内で緻密にパスをまわしながら攻撃を組み立て、相手のプレスを交わしていくビルドアップから始まる。
そして、相手が押し上げて来た瞬間、前線へと高精度のロングフィードを送る戦術は「疑似カウンター」と形容される。
しかし、大分でも就任早々は最終ラインでのパス交換から相手にボールを奪われてピンチを迎える回数が多かったように、今季のG大阪でも開幕直後から同じような場面は頻発していた。
当時の大分はJ3だったが、現在のG大阪はJ1である。このような場面は失点直結になることが多く、リスクが高い。
そして、開幕当初から採用していた3バックから試行錯誤の時を経て、オーソドックスな[4-4-2]へと着地してから結果が出始めている。