中村憲剛も脱帽する遠藤保仁の守備力

G大阪で出番が限られるようになった頃、遠藤はメディアやサポーターから運動量や守備力の低下を“衰え”として指摘されていた。

しかし、今季第21節、磐田はJ1残留を争う神戸を相手にホームで0-1と惜敗を喫したが、遠藤の走行距離はチーム最多を記録。それ以外の試合でも走行距離は平均的にチームでトップ3に入る数値を叩き出している。本人も断言しているように体力の回復力は落ちているが、それでも大きな怪我もなく連戦に耐えられる状態をキープしている。

また、2020年限りで現役を引退した元日本代表MF中村憲剛氏は、自身が現役時代に対戦した相手で脅威となった選手に遠藤の名前を挙げ、「自分がパスを出そうと考えているコースにいつもヤットさんが立っているんです。『憲剛、お前の考えはお見通しだよ』と言われているようでした」と、証言しているように、試合の機微を読み、先を予見する守備能力は憲剛氏も脱帽するほど高い。

そもそも20代の頃から全速力でダッシュする場面など皆無に近く、30代になってからはタックルの数は増えた。守備力に関しては、むしろ向上しているくらいだろう。

敢えて衰えを指摘すると、シュートに持ち込む感覚だ。今季は1998年のルーキーイヤーから24年続いているリーグ戦でのゴールがない。鹿児島実業高等学校時代はワンボランチながら得点王を争い、J1でも103得点している姿はもう見られない。

ただ、キック自体のパワーや精度は全く錆び付いていない。それだけに今季初ゴールでNHKの解説者・早野宏史氏による「ヤットがやっとゴールした」の駄洒落を早く聞きたい。