「指導者をやりたい」が、現役を続ける理由
磐田は昨季J2優勝へ導いた鈴木政一前監督時代からボールを保持してゲームの主導権を握りたい志向のチームだ。しかし、J1へ昇格して格上ばかりと対戦している今季、ここまでのボール保持率46.6%(リーグ15位)は下位に低迷する要因だ。
個の能力に依存した部分があっただけに、昨夏のDF伊藤洋輝の移籍から始まり、FWルキアン(アビスパ福岡)の引き抜きやMF山田大記の長期離脱があった今季の苦戦は想定内である。同じ路線のサッカーを継続しつつも、より体型化されたサッカーへのアップデートが今季から磐田を率いる伊藤彰監督に託された使命だ。
伊藤監督は立ち位置や個の能力などの優位性を活かしたポジショナルプレーの概念を用いる指導者として知られているだけに、「ピッチ上の指揮官」遠藤との共同作業は興味深い。
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古巣G大阪の選手と試合前にあいさつ🤝
\#ジュビロ磐田 #遠藤保仁 選手が#ガンバ大阪 との初対戦を前に
かつての仲間と挨拶まわり🙌@Jubiloiwata_YFC#Jリーグ pic.twitter.com/cQNOX9URID
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) March 15, 2022
「指導者をやりたい」意向がある遠藤だが、一方で彼が長く現役を続ける理由のひとつに、決して口には出さない熱い想いもあるだろう。彼は横浜F・マリノスへと吸収合併されて解散が決定しながらも、最後の天皇杯で優勝を遂げた伝説のチーム=横浜フリューゲルスでプレーした最後の現役選手なのだ。
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遠藤が塗り替えるまでJ1最多出場記録を持っていたのも、フリューゲルスでプレーしたGK楢崎正剛だった。「僕が移籍するとメンバー表の【前所属欄】から横浜フリューゲルスが消えてしまう」と移籍を躊躇っていた楢崎と似た想いを、遠藤も持ち続けているはずだ。
残り3分の1となった今季のJリーグは「生ける伝説」遠藤保仁のプレーに目を凝らしたい!