ディティールの修正で選手の自信を回復
とはいえ、Jリーグでの指揮経験がなく、シーズン途中の就任となったゼ・リカルド監督にできることは限られている。実際、システムも据え置き、大きく何かを変えたわけではない。
それでも51歳のブラジル人指揮官は、何となく強度だけが高かったオーソドックスな[4-4-2]のシステムを整備した。DF、MF、FWのスリーラインをコンパクトに保ち、ライン間の連携で相手を挟み込んでボールを奪う、ソリッドな守備を植え付けた。
攻撃面ではチアゴ・サンタナをシンプルに活かすクロスを増やし、クロスに対してゴール前に入る人数やポジショニングを整理。自陣からのビルドアップ時にはボランチ1枚を落として斜めのパスコースを複数つくり、選手間の距離を調整してワンタッチパスが増えるようにするなど、ディティールを修正した。
1つずつ引き出しの数を増やしていくように、じっくりとアップデートさせることで選手達に自信をもたせることに成功しているのだ。
今後、ゼ・リカルド監督には他のJクラブからのオファーも予想され、彼は柏レイソルのネルシーニョのようなJリーグの名物監督にもなりそうだ。監督交代が頻発している清水にとっては、長く指揮を任せたいところだ。