――試合に出続けることで成長を感じる部分は?

「1試合1試合、自分の中で課題が出てきます。反面、今まで出来なかったことが出来るようにもなります。試合に出続けることで自分のプレーの“幅”も拡がっていると思います。それは日々の練習中から常に高い意識を毎日積み上げられているからだと考えています。

練習中の1つの場面を切り取っても、試合をイメージしながらできるようになったことで選択肢に迷わなくなり、『こうした方が良い』という判断の部分がスムーズになりました」

――試合に出続けていると『あれ?これは対策されているな』と感じることもありますよね?逆に自分でも相手チームの試合を観ることもあるのですか?

「ありますね。そういうのも試合に出続けているからこその経験です。自分では相手チームの直近の試合を90分フルで観て、その前の2試合も要点を絞って観ています。相手チームのオーガナイズの部分や自分が直接マッチアップするだろう選手の特徴を把握するために使います」

――現代サッカーではCBにも攻撃力を求められます。栃木はボール支配率では下から3番目(42.3%)に入るチームですが、DFから攻撃を組み立てることは少なくありません。右CBの海音選手と右WB黒崎隼人のホットラインは主要な攻撃パターンになっていますね。

「黒崎選手は爆発的なスプリント能力を持っているので、それを最大限活かしたいと思って取り組んでいます。ただ、パターンや決め事は特にありません。やはり、『相手を見てプレーする』ことが大切なので、普段の練習からお互いに良いコミュニケーションを取りながら信頼関係を築けていることが今に繋がっているのだと思います。

コミュニケーションに関して言うと、3バックの中央に入るカルロス(・グティエレス、スペイン人DF)は日本語で話しかけてくれるので助かっています。日本語が出てこない時は自分も頑張って英語でコンタクトをとっているんですけどね(笑)」

――CBにビルドアップ能力が必須になる中、必然的にFWの守備力も高くなっています。日々のトレーニングから海外経験もある元日本代表FW矢野貴章選手とマッチアップする機会が多いのは経験値として大きいのでは?

「貴章さんはDFを背負った状態のコンタクトプレーや競り合いが強い選手です。自分がビルドアップする側の時もそうですし、貴章さんとマッチアップした時に『自分がどうやったらボールを奪えるのか?どれくらい距離を寄せたら良いのか?』など、練習から攻守における具体的な距離感を測ることが出来ることが大きいと思います。そして、僕の地元である静岡県浜松市出身の大先輩ですから!」

――残りのシーズン、栃木での目標を聞かせてください。

「開幕前はJ1昇格という目標を掲げてやってきたので、今の順位には全く納得できていません。個人としても自分はまだゴールを取れていないので、『自分で点を取って、ゼロで抑えて、チームを勝たせる試合』をしたいです」