アビラは10歳で初めてタトゥーを彫った。ペンと針で自作したものだ。

そして、15歳で結婚。彼女は母親と同じように彼をストリートから引っ張り出してくれた。

「サッカーが俺を引き抜いてくれた」。ティロ・フェデラルにいた頃、ユニフォームやボールを盗んだという冤罪で、兄弟や清掃員だった母親とともにクラブを追い出されたこともあった。

2年ほどはボールを蹴ることもなかったが、「神は誰もに贈り物を与える。自分が愛すること、何のために生まれたかを忘れてはいけない」と語るアビラはたくさんのことをした。

「台車で段ボールや鉄くず拾いもやったし、レンガ職人、塗装工、髪切りなど何でもやった」。

ただ、誰のことも傷付けなかったし、それを掟にしていた。彼が語っているのは、不品行、不良仲間、喧嘩、武器、物を“拝借”したこと。

「アルゼンチンには良い選手たちが大勢いるが、ボールよりも銃を見つけるほうが簡単さ。

彼らには必要なんだ。自分を信じてくれたり、チャンスをくれたりする人間や、サッカー選手になるという夢、食べ物やスパイクをくれる誰かが。

刑務所のなかで試合を見ようと思えば、レアル対バルセロナ戦を見るよりもいい時間が過ごせる。間違いない。だが、誰も助けてくれない。彼らは子供ではなく金を見ている」