ほとんどのカメラマンは、自分の体よりも機材のことを考える。『買い替えると高くつくぞ!』ってね。
(一旦ピッチから退場した)選手たちは20分ほどで戻ってきたが、試合は再開されなかった。
カメラマンとして、起きていることを知る直感がある。何かおかしなことが起きていると分かった、全てがほぼ膠着してしまっているようだった。
私は写真を撮り始めた、煙と発煙筒を背景にした選手たちがそこにいたからね。
そうしている時にマテラッツィがルイ・コスタに数秒だけ肘をかけた。そこで『もう休もう、これはクレイジーだ』と思ったので、そのイメージを写真に収めた。
メモリーカードから画像を取り出して、ノートパソコンで全ての写真をチェックした。その日は800~900枚ほど撮っていたが、あの場面は50枚か60枚ほどだった。
マテラッツィがルイ・コスタに肘をつく有名なポーズをとっているフレームが1枚だけあった。
この試合をGoogleで検索すれば、似たような画像はたくさん出てくるが、あの瞬間を正確にとらえているのは私のだけだ。
(この写真は世界中に拡散されたが、これほど長い間多くの人達に響くものになるとは思っていなかった)
すぐには気付かなかった。他の写真とは少し違うのであれを使った。
カメラマンとしては象徴的な写真なのかということにはすぐには気付かない。取材中の出来事に集中し過ぎているからね。
最も大事なのは写真を撮ること、適切な瞬間をとらえること、試合の重要な写真をね。
マテラッツィとルイ・コスタ…歴史に刻まれるミラノダービーの伝説写真は奇跡の1枚だった!撮影カメラマンの秘話がおもしろい
Text by 井上大輔(編集部)
神奈川県出身。もともとは野球小僧だったが、1998年W杯をきっかけにサッカーにも熱中。ウイイレなどのサッカーゲームにも、ドはまりした。好きなリーグはよく見ていたリーガ・エスパニョーラ。
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