マラドーナさんとそこでサッカーしたのが、狙って行ったんじゃないか?と言ってもらえることもあるんですけど(笑)、そうではなくその後にマラドーナさんが親善試合で来て、本当にたまたま試合ができたという(※亘氏は2006年5月に首都リマで開催された親善試合に、なぜかマラドーナチームの1人として出場)。
元々それもマラドーナさんと試合をできるはずじゃなかったんですよ、僕は。マラドーナさんが一人でやってきて、50周年記念にクリスタルのチーム…クリスタルの往年の人とペルー代表の往年の、ちょっと“お爺ちゃんたちチーム”同士で対戦してという話でした。激しい試合とかではなく興行をやろうとしていたんです。
そうしたら、いきなりマラドーナが来て、それこそ今度リヴァプールの10番を付けるマカリステルのお父さん(※元ボカでマラドーナとプレーした代表選手)とか何人か勝手に連れてきたんですよ。主催者に「いや、そんなのじゃなくてこっちのほうが面白いから」みたいな、得意のワガママを言い出したんです(笑)。
それで試合の前々日くらいにもう全部ガラっと変えちゃって、急に何かその時のペルーのリーグ選抜…それにお爺ちゃんたちも出るわけにはいかなくなって。だから歴代の有名選手たちもプレーするのを楽しみにされていたと思うのですが、その方たちは初めの挨拶だけになっちゃったのかな?気の毒にも。
対するは、ペルー国内にいる外国人チーム&マラドーナの友達みたい感じで。マラドーナが連れてきた選手で足りない部分を、それこそアラウホとか僕とかやっぱりちょっと会ったことがある人が「おお」みたいな感じで入れてくれたというのは、本当に奇跡的な感じでした。
運良くその時は試合に出させてもらったという形なんです。だから本当に星の巡り合わせもよく、南米には運がよく、本当に感謝するしかないという人生なんですけど、僕の場合は。
ペルーのサッカーが「魅せ合うサッカー」なワケ
――そういった事情であの試合に出場されたんですね(笑)。ペルーの国民性などはどうですか?
国民性でいうと、まずペルーの首都リマという場所は1年間雨が降らない。暖かくて乾いている。
それはもう住むまで分からなかったんですけど、それはそうですよね、ナスカの地上絵とかはあれだけ残っているわけですから。水害も雨も降らず。あんなものは雨が降ったら消えちゃうわけですから。もちろん補修はしていますけど。
そういう場所なんですね。だからお金がない人が何を削るかって、「屋根を削る」という衝撃的なものを見たんですよ。アルゼンチンのお金がない人もさすがに屋根は付けているんですけど、屋根がないんです、ペルーは。すごく貧富の差もありますし。
でも陽気な方々で、それから日系の方も多くて文化も浸透しています。現地の方々の食事にお米はよく出ます。この(インタビューの)話をいただいて、久々にペルー料理をこの間食べに行ったんですけど、チャーハンとか、もちろん白いお米も食べます。日本の方々もきっと住みやすいイメージのある国ではあります。