「勝負は紙一重、紙一重をどれだけ制するか」
昨季まで京都サンガF.C.でコーチを務め、今季から大宮アルディージャを監督として率いている長澤徹氏は、試合後の記者会見で以下のように話していた。
「環境的には少し長い芝生で、それも乾燥した状況でやるのはなかなか普段経験できないシチュエーションでした。ただ選手はとてもよく対応してくれて、しっかり点を獲って、勝てたと思います。
この強い風についてはお互い同じ環境なんですけれども、その中でもたくましく3点を獲って、そして0失点に抑えた。それは素晴らしいことだと思います。
試合は本当に紙一重だったと思います。立ち上がりにゴールキーパーの志村がピンチを防いでくれた。もしあれが決まっていたら逆の展開になってくる。それも含めて勝負ですし、トーナメントは上に上がることだけが目標なので、本当によくやってくれました。
違ったカテゴリの相手と戦うと、立場として受ける形にどうしてもならざるを得ない。世界中どこでもジャイアントキリングは起こることですし、天皇杯でも常に生まれます。
そのような事実も含めてどう勝ち切るか。我々はプロフェッショナルなので、毎回それが問われる戦いになりますね。
(次は長澤監督が昨年までいらっしゃった京都サンガとの対戦です)今度はこちらがカテゴリが上の相手に挑む立場になります。そのようなメンタリティで準備して、次に勝ち上がれるようにしたいです。
相手については、実はまだあまり見ていないんです。そして、僕個人のことはあまり関係ないと思っています。大宮アルディージャと京都サンガの戦いになるので、そこからシビアに勝負をかけていかなければならないですね」
昨年まで京都サンガで指導していた長澤監督であるが、今年に関してはあまり見ておらず、自分個人ではなくチーム同士の対戦としてシビアに戦いに行くと話していた。非常に冷静な目で2回戦の戦いを見ているようだ。
また、大宮アルディージャでプレーしている福井県出身のDF下口稚葉は以下のように試合を振り返っていた。
「天皇杯は一発勝負なので難しい試合になると思っていました。前半に1点取れたので、それによって少しずつ自分たちのリズムを出せるようになりました。
入り方の点については難しい部分もあったので、勝負は紙一重でしたけど、しっかり次に進むことができたという点が良かったと思います。
下のカテゴリからジャイアントキリングを狙ってくる相手というのは勢いがあります。それを理解した上でみんな戦っていました。押し込まれる時間もありましたけど、みんなでそれを跳ね除けて3ゴールを決めて、0失点で抑えたということが一番の収穫ですね。
僕個人としては、福井ユナイテッドのサポーターの方から自分のコールもしていただいて、とても幸せでした。在籍したわけでもないのに福井の方に愛されて。そのような実感はなかなか得られないので、すごく嬉しかったです。
(天皇杯2回戦では京都サンガとの対戦になりますが)試合は自分たちが攻める時間もあれば、守る時間もあるもので、チャンスもあればピンチもある。
そのような紙一重のところをどれだけ制するか。それが今僕たちが取り組んでいることです。今までは立ち向かってくる相手に戦ってきましたが、次はカテゴリが上の相手にチャレンジする立場。それは僕自身もすごく楽しみですし、次に駒を進めるという意味で京都に勝って上に行きたいです」
長澤徹監督と同じく「紙一重」という言葉を口にした下口稚葉。今回はそれで勝利することができ、そして京都との試合でもその「紙一重」を制する試合にしたいと語っていた。