Qolyアンバサダーのコラムニスト、中坊によるレポートをお届けします。

2022年カタールW杯の時も同様の話が挙がったが、日本はドーハの悲劇から数えて30年の時を経て、いよいよ弱小国から中堅国へとフェーズが移った。

それに伴い、
「GL突破できるかどうか」から
「GL突破は現実的に見据えた上で、決勝トーナメントでどう勝ち上がるか」に
焦点を当てるフェーズに来ている。

ついに弱小国から中堅国へとステージを上げた日本

これは今回のパリオリンピックに限った話ではなく、前回の2021年東京オリンピックでも、そして2022年カタールW杯でも課題となった部分だ。
パリオリンピックでも、カタールW杯でも
「GL一位通過した国なのに決勝トーナメント初戦敗退」
は日本だけ。ある意味不名誉な記録である。

東京オリンピックにおいてもニュージーランドにPKでなんとか勝ち上がれたに過ぎず、準々決勝のスペイン戦、3位決定戦のメキシコ戦、いずれも敗戦に終わったため決勝トーナメントでの戦い方に課題は残った。
GL突破に照準を合わせるのではなく、いかにして決勝Tを勝ち上がるかの戦い方ができていない現状。
中堅国にレベルアップしたが故の壁であり課題。この壁を中堅国常連のメキシコ、スウェーデン、パラグアイ、アメリカ、ナイジェリアも近年は打ち破れていない。

GLとは異なる戦い方

大岩監督風に言えば「GLとギアを変える」ことが求められる。

つまり、GLでは隠していたデザインされたセットプレー、GLで選手疲労を考慮した温存策、GLと違う攻め方のオプション、これらが求められる立ち位置に日本は来ている。
GLでは隠していたデザインされたセットプレーについてはカタールW杯においてもクロアチア戦で見せてくれたし、GLで選手疲労を考慮した温存策についてはカタールW杯におけるコスタリカ戦、ロシアW杯におけるポーランド戦で見せたがいずれも敗戦に終わり、ドローで凌げるところまでは地力がついていない。

そうなると上記三策以上に、なにより選手達には「GLでは8割の力で突破し、決勝Tから全力出す」という個人能力が求められる。
そこまでの個人のレベルアップ、チーム全体の層の厚さや底上げができた時に初めて決勝トーナメントでの勝ち上がりが見えてくる。

これは一朝一夕に解決する策はなく、例えば海外から名将招聘でも解決しない課題であり、30年の時を経て弱小国から中堅国へとフェーズが移ったのと同様、また30年以上の年月をかけて強化していく話だ。
日本サッカーが停滞、または後退していくことなく、僅かだが一つ一つ進化していく姿を見せているため全体の方向性は間違っていない。我々サッカーファンも短絡的な結果を求めるのではなく、冷静に共に歩んでいくしかない。

ライター:中坊
1993年からサッカーのスタジアム観戦を積み重ね、2023年終了時点で962試合観戦。特定のクラブのサポーターではなく、関東圏内中心でのべつまくなしに見たい試合へ足を運んで観戦するスタイル。日本国外の南米・ヨーロッパ・アジアへの現地観戦も行っている。
Note:「中坊コラム」@tyuu_bou
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