パリ五輪で好セーブを連発して日本の守備を支えたGK小久保玲央ブライアン。
鉄壁の守りからSNSでは小久保の名前にかけた「国防ブライアン」が流行し、本人もお気に入りだった。パリ五輪では惜しくも準々決勝でスペインに敗れたが、小久保はポルトガルのベンフィカからベルギーのシント・トロイデンに所属を移し、飛躍を誓う。
ただ、GKとして成長している小久保だが、元々はキーパーではなかったという。「国防」が生まれるきっかけは何だったのだろうか。
パリ五輪でシュートストップ率1位を記録
パリ五輪では正GKの座をつかんだ小久保。
初戦のパラグアイ戦、前半19分に三戸舜介のゴールで先制すると、24分に相手に退場者が出て数的優位となり、小久保も積極的にビルドアップに加わった。
この試合で小久保は3度の好セーブを見せて、パス成功率は90%を記録。五輪での日本代表の史上最多記録となる5得点にも貢献した。
第2戦のマリ戦では1-0の試合終了間際にPKのピンチを迎えた。それでも、小久保はキッカーのコースを読んで同じ方向に飛ぶ。小久保の姿が視野に入ったのか、相手は枠を外して日本が勝ち切った。
準々決勝のスペイン戦では強烈なミドルシュートで先制を許すなど、相手が上回った部分もあったが、大会を通して小久保の存在は目立っていた。FIFAがまとめたデータでも、準決勝までの全試合で、ペナルティーエリア内からのシュートストップ率は小久保が90%を記録し、1位だった。
FWからGKへの転向はコーチの予見が大当たり
U23日本代表の守護神にまで成長した小久保だが、元々はGKではなかった。
小学4年生までは俊足を生かしてFWをしていたという。その後に柏レイソルの育成組織からキーパーとしてスカウトされた。本格的にGKに取り組むようになったのは中学生の頃。ナイジェリア人の父と日本人の母を持ち、父が190センチ超、母が170センチ超と長身だったため、小久保も背が伸びると見込まれたのだという。コーチの予想通り、小久保は193センチにまで成長した。
そのままFWを続けていたら「国防」は誕生しなかったかもしれない。柏から2019年にベンフィカに移籍し、主にU23のチームやBチームで経験を積んだ。ベンフィカのトップチームで出場機会はなかったが、パリ五輪後に移籍したシント・トロイデンではベルギーリーグデビューを果たしている。
まだまだ伸び代がある23歳。A代表で「国防ブライアン」が見られる日もくるかもしれない。